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犬が足を引きずる原因と受診の目安【獣医師監修】
犬の健康

犬が足を引きずる原因と受診の目安【獣医師監修】

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監修: 監修獣医師(後日記入)

犬が足を引きずる原因と受診の目安【獣医師監修】

この記事のポイント: 犬が足を引きずる(跛行)には、外傷のような一時的な原因から、関節疾患や骨腫瘍のような深刻な原因までさまざまです。前肢・後肢別の原因と、すぐに病院に行くべきかの判断基準を獣医師監修のもと解説します。

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犬が足を引きずるとはどういう状態?跛行の基本を知ろう

犬が歩くときに特定の足をかばう、地面につけない、びっこを引くような歩き方をすることを、獣医学では**跛行(はこう)**と呼びます。跛行には大きく2つのタイプがあります。

  • 支柱跛行: 足を地面につけるときに痛がり、その足に体重をかける時間を短くする歩き方。関節炎や骨折で多い
  • 懸垂跛行: 足を持ち上げる動作で痛がり、足を前に振り出しにくくなる歩き方。筋肉や腱の損傷で見られる

愛犬がどちらの動きをしているかを観察し、動物病院で伝えると診断の手がかりになります。可能であれば歩いている様子を動画で撮影して受診時に見せてください。


前肢を引きずる場合に考えられる原因

前肢(前足)の跛行は、肩から指先までのどこかに痛みや異常があることを示しています。

外傷・物理的な原因

  • 爪の損傷・異物刺入: 散歩中にガラス片やトゲが肉球に刺さる、爪が折れる・割れるなど。肉球の間に小石が挟まるケースも多い
  • 捻挫・打撲: 走り回っているときや高い場所からの着地で関節を捻る。軽度であれば数日で改善する
  • 骨折: 交通事故や落下事故で発生。足を完全に地面につけず、腫れや変形を伴うことが多い

関節・骨の疾患

  • 肘関節形成不全: 大型犬(ラブラドール、ゴールデン・レトリーバーなど)に多い遺伝性疾患。成長期に発症し、前肢の跛行が徐々に悪化する
  • 離断性骨軟骨症(OCD): 関節の軟骨が正常に発達しない疾患。肩関節に好発する。若い大型犬に多い
  • 関節炎: 加齢に伴う変形性関節症や、免疫介在性関節炎。起き上がるときに前肢をかばう

軟部組織の疾患

  • 腱炎・靭帯損傷: 肩の二頭筋腱の炎症など。運動後に悪化し、安静時に改善する傾向がある
  • 腫瘍: 骨肉腫は大型犬の前肢に好発する。進行性に悪化する跛行と腫れが見られたら早急に受診が必要

後肢を引きずる場合に考えられる原因

後肢(後ろ足)の跛行は、膝や股関節の問題が多く、犬種によるリスクの差が大きいのが特徴です。

膝の疾患

  • 膝蓋骨脱臼(パテラ): 小型犬で最も多い後肢跛行の原因。膝のお皿が正常な位置からずれる疾患。時々キャンと鳴いて後ろ足を上げるのが典型的な症状
  • 前十字靭帯断裂: 中〜大型犬に多い。急に後肢を上げて3本足で歩く場合は疑いがある。肥満犬はリスクが高い

股関節の疾患

  • 股関節形成不全: 大型犬に多い遺伝性疾患。後肢を左右に揺らす「モンローウォーク」が特徴。成長期に発症しやすい
  • レッグ・ペルテス病: 小型犬(特にトイ・プードル、ヨークシャー・テリア)の若齢犬に発症。大腿骨頭への血流が不足し壊死する

神経の問題

  • 椎間板ヘルニア: 脊髄の圧迫により後肢の麻痺や跛行が生じる。ダックスフンドに特に多い。重症化すると歩行不能になるため早期受診が重要
  • 変性性脊髄症(DM): コーギーやジャーマン・シェパードに多い進行性の神経疾患。後肢のふらつきから始まり、徐々に悪化する

【独自】前肢・後肢別の原因早見表

pet-dockが獣医師への取材をもとに作成した、犬の跛行の原因早見表です。

部位 主な原因 好発犬種・年齢 緊急度
前肢・肉球 異物刺入、爪の損傷 全犬種 低〜中
前肢・肩 離断性骨軟骨症(OCD) 大型犬の成長期
前肢・肘 肘関節形成不全 ラブラドール、ゴールデン等
前肢・骨 骨肉腫 大型犬のシニア期
後肢・膝 膝蓋骨脱臼(パテラ) チワワ、トイプードル等小型犬 低〜中
後肢・膝 前十字靭帯断裂 中〜大型犬、肥満犬
後肢・股関節 股関節形成不全 ゴールデン、ラブラドール等
後肢・股関節 レッグ・ペルテス病 トイ・プードル、ヨーキー等 中〜高
後肢・脊椎 椎間板ヘルニア ダックスフンド、ビーグル等
全肢 関節炎(変形性) 全犬種のシニア期 低〜中

すぐ病院に行くべき?受診緊急度チェックリスト

以下の項目に1つでも当てはまる場合は、当日中に動物病院を受診してください。

至急受診(数時間以内)が必要なケース

  • 足が明らかに変形している、異常な方向に曲がっている
  • 骨折が疑われる(交通事故や高所からの落下の後)
  • 足を完全に地面につけず、触ると激しく痛がる
  • 後肢が突然動かなくなった(椎間板ヘルニアの急性発症の疑い)
  • 足が著しく腫れている、熱を持っている
  • ぐったりして食欲もない
  • 出血が止まらない

24時間以内に受診が望ましいケース

  • 跛行が24時間以上続いている
  • 足を触ると痛がるが、歩行はできる
  • 腫れや熱感がある
  • 跛行がだんだん悪化している
  • 体が震えている

様子を見てよい目安

以下のすべてに当てはまる場合は、2〜3日様子を見てもよいでしょう。

  • 軽度の跛行で、足は地面につけている
  • 痛がる様子がない、または軽度
  • 腫れや熱感がない
  • 食欲・元気は通常どおり
  • 散歩中に少し足をかばう程度で、帰宅後は普通に歩ける

ただし、3日以上改善しない場合、または跛行が繰り返される場合は受診してください。


犬種別の跛行リスクと注意すべき疾患

犬種によって発症しやすい運動器疾患は大きく異なります。愛犬の犬種に合わせた予防と早期発見が重要です。

犬種グループ 注意すべき疾患 好発年齢 予防・早期発見のポイント
トイ・プードル、チワワ、ポメラニアン 膝蓋骨脱臼(パテラ) 幼犬〜成犬 定期的な触診、フローリングに滑り止め
ダックスフンド、コーギー 椎間板ヘルニア 3〜7歳 段差の昇降を制限、適正体重の維持
ラブラドール、ゴールデン 股関節形成不全、前十字靭帯断裂 成長期〜成犬 繁殖前の股関節検査、体重管理
ジャーマン・シェパード 股関節形成不全、変性性脊髄症 成長期〜シニア 定期的なレントゲン検査
グレート・デーン、セント・バーナード 骨肉腫、関節炎 シニア期 四肢の腫れに注意、定期的な触診
ヨークシャー・テリア レッグ・ペルテス病 4〜12ヶ月齢 後肢の跛行を見逃さない

自宅でできる応急処置とケア

跛行に気づいたらまずやること

  1. 安静にさせる: 無理に歩かせたり走らせたりしない。ケージやリードで行動を制限する
  2. 肉球・爪をチェック: 異物が刺さっていないか、爪が折れていないかを確認する。目に見える異物は清潔なピンセットで除去できることもあるが、深く刺さっている場合は無理に抜かない
  3. 腫れ・熱感を確認: 反対側の同じ部位と比較して、腫れや熱の有無を確認する
  4. 歩行の様子を動画撮影: 受診時に獣医師に見せるため。前・横・後ろからの歩行を撮影する

やってはいけないこと

  • 人間用の鎮痛剤を与える: ロキソプロフェン、イブプロフェン、アセトアミノフェンは犬に有毒。腎不全や肝不全を引き起こす可能性がある
  • 湿布を貼る: 人間用の湿布には犬に有害な成分(NSAIDs)が含まれるものがある。舐めて中毒を起こす危険性もある
  • 無理にマッサージする: 骨折や靭帯損傷の場合、悪化させる恐れがある
  • 放置する: 「歩けているから大丈夫」と判断しない。犬は痛みを隠す動物であり、跛行が出ている時点で相当の痛みを感じている可能性がある

動物病院での検査と治療費用の目安

一般的な検査内容と費用

検査 内容 費用の目安
身体検査・触診 関節の可動域、痛みの部位、筋肉量の左右差を確認 1,000〜2,000円
レントゲン検査 骨折、関節の変形、骨腫瘍の有無を確認 4,000〜8,000円
関節液検査 関節炎の種類(感染性・免疫介在性)を鑑別 5,000〜10,000円
CT検査 骨の詳細な3D画像。複雑骨折や腫瘍の評価に有用 30,000〜60,000円
MRI検査 軟部組織や神経の評価。椎間板ヘルニアの確定診断 50,000〜100,000円

主な治療法と費用

治療 適応 費用の目安
内科治療(鎮痛剤・サプリ) 関節炎、軽度のパテラ 月3,000〜10,000円
パテラ手術 膝蓋骨脱臼グレード2以上 150,000〜300,000円(片足)
前十字靭帯手術(TPLO等) 前十字靭帯断裂 200,000〜500,000円
骨折の整復手術 骨折 100,000〜400,000円
股関節全置換術 重度の股関節形成不全 300,000〜600,000円
リハビリテーション 術後回復、慢性関節疾患 1回3,000〜8,000円

注意: 上記の費用は一般的な目安です。動物病院や地域によって異なります。費用について詳しくは動物病院の診察料金ガイドをご覧ください。


跛行を予防するための日常管理

環境の整備

  • フローリングに滑り止めマットを敷く: 特に小型犬のパテラ予防に効果的。滑りやすい床での転倒は膝への大きな負担になる
  • 段差にスロープを設置: ソファやベッドの昇降は関節に負担がかかる。特にダックスフンドは椎間板への負担を軽減するため必須
  • 高い場所からのジャンプを防止: 骨折や靭帯損傷のリスクを下げる

体重管理

  • 適正体重を維持する: 肥満は関節への負担を大幅に増加させる。前十字靭帯断裂のリスク因子でもある
  • 定期的な体重測定: 月1回は体重を測り、BCS(ボディコンディションスコア)でも肥満度を確認する

適切な運動

  • 過度な運動を避ける: 特に成長期の大型犬は、骨や関節が未成熟な段階での激しい運動は関節疾患のリスクを高める
  • 散歩後の様子を観察: 散歩後に跛行が出る場合は運動量が多すぎる可能性がある
  • 関節に優しい運動: 水泳やハイドロセラピーは関節への負担が少なく、筋力維持に効果的

まとめ

犬が足を引きずっている場合、その原因は単純な肉球の傷から関節疾患、神経の問題までさまざまです。大切なのは、跛行のパターンを正確に観察し、緊急度を判断して適切なタイミングで受診することです。

特に「足が完全に地面につかない」「後肢が突然動かなくなった」「足が腫れて熱を持っている」場合は至急受診が必要です。また、犬は痛みを我慢する動物です。跛行が見られるということは、すでに相当の不快感や痛みがある状態だと認識してください。

愛犬の足の異変に気づいたら、まずはお近くの動物病院に相談しましょう。

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この記事は獣医師の監修のもと作成されています。ただし、個々の症状は犬の状態や体質によって異なります。愛犬の様子が心配な場合は、自己判断せずに動物病院を受診してください。

参考資料: 日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」、Merck Veterinary Manual "Lameness in Dogs"、ACVS Surgical Conditions - Cranial Cruciate Ligament Disease

最終更新: 2026年4月5日

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