犬の目やにの原因と色でわかる病気のサイン【獣医師監修】
この記事のポイント: 犬の目やには色や量で正常・異常を判断できます。透明〜白っぽい少量の目やには生理的な現象ですが、黄色・緑色の目やにや量の急増は感染症や眼疾患のサインです。色別の診断チャートと受診基準を獣医師監修のもと解説します。
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そもそも犬の目やには正常?異常な目やにの見分け方
犬の目やに(眼脂・がんし)は、目の表面を潤す涙に含まれる粘液成分やホコリ、古い細胞が混ざったものです。人間と同じように、犬にも生理的な目やにが出ること自体は正常です。
正常な目やにの特徴
- 透明〜薄い白色の少量の分泌物
- 朝起きたときに目頭に少しついている程度
- 粘り気が少なく、拭き取りやすい
- 両目で同程度の量
異常な目やにの特徴
- 黄色・緑色・灰色の目やに
- 量が急に増えた
- 粘度が高くドロッとしている
- 目を開けられないほど固まっている
- 片目だけ目やにが多い
- 充血、腫れ、痒がる仕草を伴う
異常な目やにが見られたら、放置せずに原因を確認することが大切です。
【独自】犬の目やにカラーチャート -- 色と状態で原因を判断
pet-dockが獣医師の知見をもとに作成した、犬の目やにの色別診断チャートです。
| 目やにの色 | 状態 | 考えられる原因 | 緊急度 |
|---|---|---|---|
| 透明〜白色 | サラッとした少量 | 生理的な分泌、軽い刺激(風・ホコリ) | 低(正常範囲) |
| 白色(多量) | 粘り気がある | ドライアイ(乾性角結膜炎)、軽度のアレルギー | 中(続くなら受診) |
| 黄色 | ドロッと粘り気がある | 細菌感染による結膜炎、角膜潰瘍の初期 | 中〜高(早めに受診) |
| 黄緑〜緑色 | 膿のような状態 | 細菌感染(重度の結膜炎)、角膜潰瘍の進行 | 高(当日中に受診) |
| 茶色〜赤褐色 | 目頭に固まる | 涙やけ(流涙症)、鼻涙管閉塞 | 低〜中(美容的な問題が主) |
| 赤色・血が混じる | 血液成分を含む | 外傷、異物、緑内障、ぶどう膜炎 | 高(至急受診) |
| 灰色〜黒色 | 乾燥して固まっている | 慢性的な刺激、古い分泌物の蓄積 | 低〜中(慢性化なら受診) |
重要: 目やにの写真をスマートフォンで撮影し、受診時に獣医師に見せてください。色の変化の経過がわかるとさらに診断の参考になります。
犬の目やにが増える主な原因と病気
感染症による目やに
- 細菌性結膜炎: 黄〜緑色の膿状の目やにが特徴。充血を伴い、目を気にして前肢でこすることが多い。片目から始まり両目に広がることもある
- ウイルス性結膜炎: 犬ジステンパーウイルスの初期症状として水様〜粘液性の目やにが出ることがある。くしゃみ、鼻水、発熱を伴う場合は要注意
- 真菌性眼感染症: まれだが免疫力が低下した犬で発症することがある
アレルギーによる目やに
- 環境アレルギー: 花粉、ダニ、カビなどが原因。両目が充血し、透明〜白色の目やにが増える。皮膚のかゆみを伴うことが多い
- 食物アレルギー: 特定のフード成分に反応して目やにや涙が増加。皮膚症状と併発しやすい
- 接触性アレルギー: シャンプーやノミ・ダニ予防薬が目に入った場合など
眼の構造的な問題
- 鼻涙管閉塞: 涙を鼻に排出する管が詰まり、涙があふれて涙やけになる。小型犬・短頭種に多い
- 眼瞼内反症(がんけんないはんしょう): まぶたが内側に巻き込み、まつげが角膜を刺激する。慢性的な目やにと充血が続く
- 眼瞼外反症: まぶたが外側に垂れ下がり、結膜が露出して感染しやすくなる。バセット・ハウンドやセント・バーナードに多い
- 睫毛異常(しょうもういじょう): 余分なまつげ(異所性睫毛)が角膜を刺激する
重篤な眼疾患
- 角膜潰瘍: 角膜に傷がつき、感染が加わると黄〜緑色の目やにが急増する。痛みが強く、目をしょぼしょぼさせる
- 緑内障: 眼圧が上昇し、充血、涙、目やにが増加。瞳孔が開いたままになる。放置すると失明するため緊急
- ドライアイ(乾性角結膜炎): 涙の分泌量が減少し、粘度の高い白〜黄色の目やにが出る。角膜が乾燥してダメージを受ける
- ぶどう膜炎: 眼内の炎症。充血、縮瞳、涙の増加を伴う
すぐ病院に行くべき?受診判断チェックリスト
至急受診(当日中)が必要なケース
- 目やにが黄色・緑色で膿状
- 目が開けられないほど腫れている
- 目を激しく痛がる(顔を触らせない、頭を振る)
- 目の表面が白く濁っている
- 瞳孔の大きさが左右で違う
- 目に明らかな傷がある、異物が見える
- 出血を伴う目やに
数日以内に受診が望ましいケース
- 目やにの量が1週間以上続いて増えている
- 目やにの色が透明から黄色に変化した
- 片目だけ目やにが多い
- 目を頻繁にこすっている、かゆがっている
- 目やにに加えて充血がある
- 涙やけがひどくなっている
様子を見てよい目安
- 朝だけ少量の透明〜白色の目やにがつく程度
- 拭き取れば日中は目やにが出ない
- 充血や腫れがない
- 犬が目を気にする様子がない
- 左右の目やにの量に大きな差がない
犬種別の目やにリスクと注意すべき眼疾患
犬種によって眼の構造が異なるため、目やにのトラブルが起きやすい犬種があります。
| 犬種 | 目のトラブルが多い理由 | 注意すべき疾患 |
|---|---|---|
| パグ、フレンチ・ブルドッグ、シーズー | 眼球が突出しているため角膜が傷つきやすい | 角膜潰瘍、ドライアイ、眼球突出 |
| トイ・プードル、マルチーズ | 鼻涙管が細く閉塞しやすい | 涙やけ、流涙症 |
| コッカー・スパニエル | ドライアイの好発犬種 | 乾性角結膜炎、慢性結膜炎 |
| バセット・ハウンド、ブルドッグ | まぶたが垂れている(眼瞼外反) | 結膜炎、角膜炎 |
| ゴールデン・レトリーバー | 遺伝的にぶどう膜炎やアレルギーが多い | ぶどう膜嚢胞、アレルギー性結膜炎 |
| 柴犬 | アレルギー体質が多い | アレルギー性結膜炎、アトピー |
| チワワ | 眼球が大きく涙の蒸発が多い | ドライアイ、涙やけ |
短頭種(パグ、フレンチ・ブルドッグ、シーズーなど)の飼い主は、特に目のケアを日課にすることをおすすめします。
犬の目やにの正しい拭き取り方と自宅ケア
目やにの正しい拭き取り方
- 手を清潔にする: 手洗いをしてから目の周りに触れる
- 温かい湿らせたガーゼを使う: ぬるま湯で濡らした清潔なガーゼや脱脂綿を使用。ティッシュペーパーは繊維が目に入る可能性があるので避ける
- 目頭から外側に向かって拭く: 一方向にやさしく拭き取る。ゴシゴシこすらない
- 固まった目やにはふやかしてから: 無理に剥がすと皮膚を傷つける。ぬるま湯で湿らせたガーゼを30秒ほど当てて柔らかくしてから拭き取る
- 左右で別のガーゼを使う: 片目が感染している場合、もう片方への感染を防ぐ
自宅でのケア・予防
- 毎日の目元チェック: 起床時に目やにの色・量・状態を確認する習慣をつける
- 目元の毛のカット: 長毛種は目にかかる毛を定期的にカットして刺激を減らす
- 犬用アイローション: 獣医師に相談のうえ、日常的な目の洗浄に使用。人間用の目薬は使わないこと
- アレルゲンの除去: 花粉の時期は散歩後に目の周りを拭く、室内の換気やダニ対策をする
- 室内の乾燥を避ける: エアコンの風が直接当たらないようにし、加湿器を併用する
やってはいけないこと
- 人間用の目薬を使う: 成分が犬に合わず、症状を悪化させる可能性がある
- 綿棒で目の中を触る: 角膜を傷つける危険がある
- 充血している目を放置する: 「充血だけ」に見えても緑内障のような緊急疾患の初期症状の可能性がある
- 目やにを手で剥がす: 皮膚や被毛を傷つけ、感染リスクも高まる
動物病院での検査と治療費用の目安
主な眼科検査と費用
| 検査 | 内容 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 視診・触診 | 目やにの状態、充血、腫れ、瞳孔反応の確認 | 1,000〜2,000円 |
| フルオレセイン染色 | 角膜の傷(潰瘍)の有無を蛍光色素で確認 | 1,000〜3,000円 |
| シルマー涙液試験 | 涙の分泌量を測定(ドライアイの診断) | 1,000〜3,000円 |
| 眼圧測定 | 緑内障の診断に必須 | 1,500〜3,000円 |
| 細菌培養・感受性試験 | 感染の原因菌を特定し、有効な抗生物質を選定 | 5,000〜10,000円 |
| 眼底検査 | 網膜や視神経の状態を確認 | 2,000〜5,000円 |
| 眼科エコー | 眼球内部の異常(腫瘍、網膜剥離等)を確認 | 3,000〜8,000円 |
主な治療法と費用
| 治療 | 適応 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 点眼薬(抗生物質) | 細菌性結膜炎、角膜潰瘍 | 1,000〜3,000円/本 |
| 点眼薬(人工涙液) | ドライアイ | 1,000〜2,000円/本 |
| 内服薬(抗生物質) | 重度の感染 | 3,000〜8,000円 |
| 角膜潰瘍の外科治療 | 深い角膜潰瘍 | 30,000〜80,000円 |
| 眼瞼内反矯正手術 | 眼瞼内反症 | 50,000〜150,000円 |
| 緑内障の治療(内科) | 緑内障 | 月5,000〜20,000円 |
| 鼻涙管洗浄 | 鼻涙管閉塞 | 5,000〜15,000円 |
注意: 上記の費用は一般的な目安です。動物病院や地域によって異なります。費用について詳しくは動物病院の診察料金ガイドをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q1. 犬の目やにを毎日拭く必要がありますか?
犬種や体質によります。短頭種(パグ、フレンチ・ブルドッグ等)や涙やけしやすい犬種(トイ・プードル、マルチーズ等)は毎日のケアが理想的です。それ以外の犬種でも、朝の目やにチェックを日課にしておくと異常に早く気づけます。
Q2. 片目だけ目やにが出るのはなぜですか?
片目だけの目やには、その目に局所的な原因があることを示唆します。異物が入っている、角膜に傷がついている、片側の鼻涙管が詰まっている、まつげの異常があるなどが考えられます。片目だけの症状は自然に改善しにくいため、早めの受診をおすすめします。
Q3. 犬の目やにと涙やけの違いは何ですか?
目やには目の分泌物そのもので、涙やけは涙が目の周りの被毛を染めて茶色〜赤褐色に変色した状態です。涙やけの原因は主に涙の過剰分泌や鼻涙管閉塞です。涙やけ自体は病気ではありませんが、原因に眼疾患が隠れている場合もあるため、ひどい場合は受診を検討してください。詳しくは犬の涙やけの原因と対策をご覧ください。
まとめ
犬の目やには、色・量・粘度・頻度を観察することで、正常な生理現象か病気のサインかを判断できます。特に黄色〜緑色の膿状の目やに、急激な目やにの増加、充血や痛みを伴う目やには、放置せずに動物病院を受診してください。
日頃から目元のチェックと清潔なケアを習慣にすることで、眼疾患の早期発見と予防につながります。
愛犬の目やにが気になったら、まずはお近くの動物病院に相談しましょう。
この記事は獣医師の監修のもと作成されています。ただし、個々の症状は犬の状態や体質によって異なります。愛犬の様子が心配な場合は、自己判断せずに動物病院を受診してください。
参考資料: 日本獣医師会「家庭飼育動物(犬・猫)の診療料金実態調査」、Merck Veterinary Manual "Ocular Discharge in Dogs"、ACVO Genetics Committee Ocular Disorders
最終更新: 2026年4月5日
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