「愛犬がしきりに体を掻いている」「皮膚が赤くなっている」「毛が抜けてハゲができた」 — 犬の皮膚トラブルは、動物病院を受診する理由として最も多い症状のひとつです。皮膚病にはアレルギー、感染症、ホルモン異常などさまざまな原因があり、正しい診断と治療が不可欠です。この記事では、犬の主な皮膚病の種類・原因・治療法を獣医師監修のもと症状別に解説します。
犬の皮膚病で最も多い原因は?
犬の皮膚病の原因はアレルギー(アトピー性皮膚炎・食物アレルギー)が最も多く、次いで細菌・真菌感染、外部寄生虫、ホルモン異常と続きます。症状は「かゆみ」「赤み」「脱毛」「フケ」「湿疹」に大別され、原因によって治療法が異なるため獣医師の診断が重要です。
犬の主な皮膚病の種類と特徴
1. アトピー性皮膚炎
犬の皮膚病で最も多い疾患のひとつです。ダニ、花粉、カビなどの環境アレルゲンに対する免疫の過剰反応で起こります。
特徴:
- 1〜3歳の間に発症することが多い
- 目の周り、口の周り、耳、足先、脇の下、股の付け根に症状が出やすい
- 季節性がある場合とない場合がある
- 好発犬種: 柴犬、フレンチブルドッグ、ゴールデンレトリバー、ウエストハイランドホワイトテリアなど
治療法:
- 薬物療法: アポキル(オクラシチニブ)、サイトポイント(ロキベトマブ)、ステロイド、シクロスポリンなど
- スキンケア: 保湿、薬用シャンプー
- アレルゲンの回避: 環境整備、空気清浄機
- 減感作療法(アレルゲン特異的免疫療法)
2. 食物アレルギー
特定の食材(牛肉、鶏肉、小麦、大豆、乳製品など)に対するアレルギー反応で、皮膚症状(かゆみ、赤み)と消化器症状(嘔吐、下痢)を引き起こします。
診断方法: 除去食試験(新奇タンパク食や加水分解食を8〜12週間与え、症状の改善を確認する)が最も信頼性の高い方法です。血液検査は参考程度にとどまります。
治療法: アレルゲンとなる食材を含まない食事への切り替え(生涯継続)。
3. 膿皮症(細菌性皮膚炎)
ブドウ球菌(Staphylococcus pseudintermedius)などの細菌が皮膚に感染して起こる疾患です。アトピー性皮膚炎やホルモン異常など、根底に別の疾患があることが多いです。
症状: 赤い発疹(丘疹)、膿疱、かさぶた、円形の脱毛(エピダーマルコレット)
治療法:
- 軽症: 薬用シャンプー(クロルヘキシジン配合)での洗浄
- 中〜重症: 抗生物質の内服(3〜4週間以上)
- 再発性の場合: 根底にある原疾患(アトピー等)の治療が不可欠
4. マラセチア皮膚炎
マラセチアという酵母様真菌が皮膚で過剰増殖して起こる疾患です。脂漏体質の犬や、アトピー性皮膚炎の犬に合併しやすいです。
症状: 皮膚のベタつき、独特の酸っぱい匂い、赤み、かゆみ。耳、指の間、脇の下、鼠径部に好発。
治療法: 抗真菌薬(ケトコナゾール等)の内服・外用、薬用シャンプー。
5. ノミアレルギー性皮膚炎
ノミの唾液に対するアレルギー反応で、1匹のノミに刺されるだけでも激しいかゆみが起こります。
症状: 腰(尾の付け根)から背中にかけての激しいかゆみ、脱毛、かさぶた。
治療法・予防: 通年のノミ予防薬の投与が最も重要。環境中のノミ駆除も必須。
6. 皮膚糸状菌症(真菌感染)
皮膚糸状菌(白癬菌)による感染症で、**人にもうつる人獣共通感染症(ズーノーシス)**です。
症状: 円形の脱毛、フケ、軽度のかゆみ。子犬や免疫力の低い犬に多い。
治療法: 抗真菌薬の内服・外用、薬用シャンプー。治療期間は6〜8週間以上。家族への感染にも注意が必要です。
7. 甲状腺機能低下症による皮膚症状
甲状腺ホルモンの不足により、皮膚のターンオーバーが乱れて皮膚症状が出ます。
症状: 左右対称性の脱毛(かゆみは少ない)、皮膚の肥厚、色素沈着、被毛の粗さ。元気がない、肥満傾向も伴う。
治療法: 甲状腺ホルモンの補充療法(レボチロキシンの生涯投与)。
8. 疥癬(ヒゼンダニ感染)
ヒゼンダニが皮膚にトンネルを掘って寄生する疾患で、非常に激しいかゆみが特徴です。人にも一時的にうつることがあります。
症状: 耳のふち、肘、かかと、腹部の激しいかゆみ、かさぶた、脱毛。
治療法: 駆虫薬(イベルメクチン、セラメクチン等)の投与。同居動物も同時治療。
症状から疑われる皮膚病の目安
| 主な症状 | 考えられる皮膚病 |
|---|---|
| 激しいかゆみ+赤み | アトピー性皮膚炎、ノミアレルギー、疥癬 |
| ベタベタ+臭い | マラセチア皮膚炎 |
| 円形の脱毛+フケ | 皮膚糸状菌症、膿皮症 |
| 左右対称の脱毛(かゆみなし) | 甲状腺機能低下症、クッシング症候群 |
| 膿疱+かさぶた | 膿皮症 |
| 腰〜尾の付け根のかゆみ | ノミアレルギー性皮膚炎 |
自宅でできる皮膚ケアの基本
シャンプーのポイント
- 皮膚病の犬は獣医師が処方する薬用シャンプーを使用する
- シャンプーは原液を直接かけず、泡立ててから皮膚に塗布する
- 薬用シャンプーは皮膚に10分程度なじませてからすすぐ(接触時間が重要)
- すすぎ残しは皮膚炎の原因になるため、しっかりすすぐ
- ドライヤーは低温で、完全に乾かす
保湿
皮膚のバリア機能を維持するために、犬用の保湿スプレーやセラミド配合の保湿剤を使用してください。人間用の保湿クリームは成分によっては犬に有害な場合があります。
環境管理
- 寝床を清潔に保つ(週1回以上の洗濯)
- 室内の湿度を50〜60%に保つ
- ダニ対策として布製品を定期的に洗濯・掃除
- ノミ・マダニの通年予防
実際にペットドックに寄せられた口コミでは、「皮膚病が長引いて何軒も病院を回ったが、ペットドックの口コミで皮膚科に強い病院を見つけて改善した」という声もあります。(※UGCプレースホルダー)
こんな症状があればすぐ病院へ(緊急サイン)
- 皮膚の広範囲が赤く腫れ、熱を持っている
- 傷口から膿が出ている・悪臭がする
- かゆみが激しく、自傷行為(皮膚を噛みちぎる、血が出るまで掻く)がある
- 急激に広がる脱毛
- 蕁麻疹(全身が腫れる)が出ている
- 顔(特に目や口の周り)が急に腫れた(アナフィラキシーの可能性)
- 元気がない、食欲がないを伴う皮膚症状
まとめ
- 犬の皮膚病の原因はアレルギーが最多で、アトピー性皮膚炎は柴犬やフレンチブルドッグなどに多い
- 皮膚病の治療は原因によって大きく異なるため、自己判断での市販薬使用は避け、獣医師の診断を受ける
- 膿皮症やマラセチアは根底に別の疾患(アトピー等)があることが多く、根本原因の治療が再発防止の鍵
- 薬用シャンプーの正しい使い方(接触時間10分)を守ることで治療効果が高まる
- ノミ予防の通年投与、定期的なスキンケア、環境管理が皮膚の健康を守る基本
よくある質問(FAQ)
Q1: 犬の皮膚病は人にうつりますか?
A1: 皮膚糸状菌症(真菌感染)と疥癬は人にも感染する人獣共通感染症です。これらの皮膚病と診断された場合は、犬に触った後の手洗いを徹底し、家族に皮膚症状(赤い輪状の発疹など)が出た場合は皮膚科を受診してください。アトピーや膿皮症は人にはうつりません。
Q2: 犬のかゆみに市販のかゆみ止めを使ってもいいですか?
A2: 人間用のかゆみ止め薬(ステロイド軟膏含む)を犬に使用するのは避けてください。成分によっては犬に有害な場合があり、また舐めて摂取してしまうリスクもあります。かゆみが激しい場合はエリザベスカラーで掻きむしりを防止し、早めに動物病院を受診してください。
Q3: 犬の皮膚病は完治しますか?
A3: 感染症(膿皮症、真菌症、ノミアレルギー)は原因を除去することで完治が期待できます。一方、アトピー性皮膚炎は体質的な要因が大きく、完治は難しいですが、適切な治療とスキンケアでかゆみをコントロールし、良好な生活の質を維持することは十分可能です。
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この記事は獣医師の監修のもと、pet-dock編集部が2026年4月時点の情報をもとに作成しました。症状や治療法は個体差があるため、心配な場合は必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。
記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を推奨するものではありません。