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犬の咳が止まらない原因と受診の目安【獣医師監修・音別チェック表】
犬の健康

犬の咳が止まらない原因と受診の目安【獣医師監修・音別チェック表】

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監修: pet-dock獣医師監修チーム

犬の咳が止まらない原因と受診の目安【獣医師監修・音別チェック表】

愛犬が「ガーガー」と苦しそうに咳をしたり、「カッカッ」と何かを吐き出すような仕草を繰り返していませんか? 犬の咳は一時的な刺激によるものから、心臓病や気管虚脱のような重篤な疾患のサインまで幅広い原因が考えられます。この記事では、咳の音の違いから原因疾患を推測する方法、犬種別のリスク、緊急度の判断基準、検査・治療費の目安を獣医師監修のもと詳しく解説します。

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この記事のポイント

  • 犬の咳は「音」で原因疾患をある程度絞り込める(ガーガー=気管虚脱、カッカッ=ケンネルコフ、ゼーゼー=肺炎・心不全など)
  • 小型犬は気管虚脱、大型犬は喉頭麻痺、シニア犬は心臓病に要注意
  • 安静時の呼吸数が1分間40回以上なら緊急受診の目安
  • レントゲン検査で3,000〜6,000円、心臓エコーで5,000〜10,000円が費用の目安
  • 1週間以上続く咳は「様子見」せず早めの受診を推奨

犬の咳とは? 正常な咳と異常な咳の違い

犬も人間と同じように咳をします。喉や気管に入った異物やほこりを排出するための防御反射であり、たまに1〜2回「コフッ」とする程度は正常な範囲です。

しかし、以下のような場合は何らかの疾患が隠れている可能性があります。

  • 1日に何度も咳を繰り返す
  • 咳が1週間以上続いている
  • 咳の後にえづく(吐くような仕草をする)
  • 咳と一緒に鼻水や目やにが出ている
  • 運動時・興奮時に咳がひどくなる
  • 夜間〜明け方に咳が増える

犬は人間と違い「咳がつらい」と訴えることができません。飼い主が咳の音・タイミング・頻度を観察して記録しておくと、獣医師の診断に大いに役立ちます。可能であれば咳をしている動画を撮影して診察時に見せることをおすすめします。


咳の音別でわかる原因疾患チェック表

犬の咳は音の種類によって原因疾患をある程度推測できます。以下の表を参考に、愛犬の咳がどのタイプに近いか確認してください。

咳の音 特徴 疑われる主な疾患 緊急度
ガーガー(ガチョウの鳴き声) 低い音で「ガーガー」「グエッグエッ」と響く 気管虚脱 中〜高(呼吸困難があれば緊急)
カッカッ(乾いた咳) 乾いた「カッカッ」「ケッケッ」という短い咳 ケンネルコフ(犬伝染性気管支炎)、咽頭炎 低〜中
ゼーゼー(湿った咳) 痰が絡んだような「ゼーゼー」「ゴロゴロ」 肺炎、肺水腫(心不全)、気管支炎 高(特に呼吸困難を伴う場合)
ヒューヒュー(笛のような音) 吸気時に「ヒュー」と甲高い音 喉頭麻痺、気管狭窄、異物
逆くしゃみ(ブーブー) 鼻から勢いよく空気を吸い込む「ブーブー」「フゴフゴ」 逆くしゃみ症候群(多くは無害) 低(頻発する場合は受診)

注意: 上記はあくまで目安です。実際の診断には獣医師による聴診・レントゲン・血液検査などの総合的な評価が必要です。


犬の咳を引き起こす主な原因疾患

ケンネルコフ(犬伝染性気管支炎)

ケンネルコフは犬パラインフルエンザウイルスやボルデテラ菌などの複数の病原体が原因で起こる感染性の気管支炎です。ペットショップ、ドッグラン、トリミングサロンなど犬が集まる場所での感染が多く、特に子犬や免疫力が低下した犬に多くみられます。

項目 内容
主な症状 乾いた激しい咳(カッカッ)、咳の後のえづき、鼻水、軽度の発熱
好発 子犬、ワクチン未接種の犬、多頭飼育環境
経過 軽症なら1〜2週間で自然回復。二次感染で肺炎に進行するリスクあり
治療 抗菌薬、鎮咳薬、ネブライザー療法。重症化したら入院
予防 混合ワクチン(5種以上)の定期接種

気管虚脱

気管虚脱は、気管を支える軟骨のリング状構造が弱くなり、気管が呼吸時に潰れてしまう疾患です。小型犬に非常に多いのが特徴で、「ガチョウの鳴き声」と表現される特徴的な咳が出ます。

項目 内容
主な症状 ガーガーという咳、興奮時・運動時に悪化、暑い日に悪化、チアノーゼ(舌が紫になる)
好発犬種 ポメラニアン、ヨークシャーテリア、チワワ、トイプードル、マルチーズ
進行度 グレード1(軽度)〜グレード4(重度)の4段階
治療 軽度:鎮咳薬・気管支拡張薬・体重管理。重度:気管ステント手術(20〜50万円)
注意 首輪をハーネスに変える、肥満を避ける、暑い環境を避ける

心臓病(僧帽弁閉鎖不全症など)

犬の心臓病、特に**僧帽弁閉鎖不全症(MMVD)**は中高齢の小型犬に非常に多い疾患です。心臓のポンプ機能が低下すると肺に水がたまり(肺水腫)、咳が出るようになります。

項目 内容
主な症状 夜間〜早朝の咳、運動時の息切れ、疲れやすい、失神、腹水
好発犬種 キャバリア、マルチーズ、チワワ、シーズー、ミニチュアダックスフンド
進行度 ACVIMガイドラインでステージA〜Dの4段階
治療 内服薬(ピモベンダン、利尿薬、ACE阻害薬)で進行を遅らせる。重度なら僧帽弁修復術(60〜150万円)
検査 心臓エコー、レントゲン、心電図、血圧測定

心臓病による咳は「心臓の咳」とも呼ばれ、安静時(特に横になった際)に咳が増えるのが特徴です。詳しくは犬の元気がない原因もご参照ください。

肺炎

細菌やウイルスの感染、誤嚥(食べ物が気管に入る)などが原因で肺に炎症が起こる疾患です。高齢犬や免疫力の低い犬に多くみられます。

  • 症状: 湿った咳、発熱、食欲低下、呼吸が速い・浅い
  • 検査: レントゲンで肺の白い影を確認
  • 治療: 抗菌薬の投与、酸素療法、入院管理
  • 誤嚥性肺炎: 短頭種(パグ、フレブルなど)や巨大食道症の犬に多い。嘔吐後に発症することも

その他の原因

  • フィラリア症: フィラリア予防を怠ると、心臓や肺の血管に寄生虫が棲みつき慢性の咳を引き起こす
  • 肺腫瘍: 中高齢犬で徐々に悪化する咳。レントゲンやCTで診断
  • 気管支拡張症: 慢性気管支炎の結果、気管支が広がり痰がたまりやすくなる
  • 異物: 草の穂や小さな物を吸い込んで気管・気管支に詰まる

犬種別の咳に関するリスク

犬種によって咳のリスクとなる疾患が異なります。愛犬の犬種を確認し、注意すべきポイントを把握しておきましょう。

犬種グループ 注意すべき疾患 具体的な犬種例
小型犬 気管虚脱、僧帽弁閉鎖不全症 ポメラニアン、ヨーキー、チワワ、トイプードル、マルチーズ
短頭種 短頭種気道症候群(BOAS)、誤嚥性肺炎 パグ、フレンチブルドッグ、ブルドッグ、ペキニーズ
大型犬 喉頭麻痺、拡張型心筋症 ラブラドール、ゴールデン、ドーベルマン、グレートデン
猟犬系 フィラリア症(野外活動が多い) ビーグル、セッター、ポインター
シニア犬(全犬種) 心臓病、肺腫瘍、気管支拡張症 全犬種(7歳以上で要注意)

緊急度チェックリスト:すぐに病院に行くべき?

以下のチェックリストで愛犬の状態を確認してください。

緊急度 症状 対応
今すぐ受診 舌や歯茎が青紫色(チアノーゼ)/呼吸困難で苦しそう/ぐったりして動けない/咳と同時に血が出る 夜間でも救急動物病院を受診
当日〜翌日受診 安静時の呼吸数が1分間40回以上/食欲がまったくない/咳が激しく吐く/発熱(39.5℃以上) かかりつけ動物病院へ。予約が取れなければ別の病院を検索
数日以内に受診 咳が3日以上続く/咳に痰が混じる/運動時の息切れ/食欲の低下 動画を撮影して受診。経過メモも持参する
1〜2週間以内に受診 たまに咳をする(1日数回程度)/元気と食欲はある/鼻水が少し出る 悪化傾向があれば早めに受診

安静時の呼吸数の測り方: 犬が寝ている間または安静にしているときに、胸の上下動を1分間カウントします。正常値は15〜30回/分。40回を超える場合は心不全の可能性があり、緊急受診の目安です。


動物病院での検査と費用の目安

咳で受診した際に行われる一般的な検査とその費用の目安を紹介します。

検査項目 目的 費用の目安 備考
聴診 心雑音・肺音の異常を確認 診察料に含まれる 初診料1,500〜3,000円
胸部レントゲン 心臓の大きさ・肺の状態を確認 3,000〜6,000円 咳の原因特定に最も基本的な検査。詳しくはレントゲン費用を参照
血液検査 炎症反応・心臓バイオマーカーの確認 5,000〜10,000円 心臓バイオマーカー(NT-proBNP)を含む場合は追加費用あり
心臓エコー 心臓の構造・血流を詳細に評価 5,000〜10,000円 心臓病が疑われる場合に必須
気管支鏡検査 気管・気管支内部を直接観察 15,000〜30,000円 全身麻酔が必要。異物除去にも使用
CT検査 肺や気管の詳細な画像診断 30,000〜60,000円 腫瘍の精密検査など高度診断

初回の検査費用の合計は、診察料+レントゲン+血液検査で1万〜2万円程度が一般的です。心臓病が確認された場合はエコー検査が追加され、合計2〜3万円程度になります。検査費用全般については動物病院の費用ガイドもご参照ください。


咳の治療法と自宅ケア

疾患別の治療法

疾患 主な治療法 治療費の目安(月額) 治療期間
ケンネルコフ 抗菌薬、鎮咳薬、ネブライザー 5,000〜15,000円 1〜3週間
気管虚脱(軽度) 鎮咳薬、気管支拡張薬、体重管理 3,000〜8,000円 長期(生涯投薬の場合あり)
気管虚脱(重度) 気管ステント手術 20〜50万円(手術費用) 手術後は定期検診
心臓病 ピモベンダン、利尿薬、ACE阻害薬 5,000〜15,000円 長期(生涯投薬)
肺炎 抗菌薬、酸素療法、入院管理 30,000〜100,000円(入院含む) 1〜3週間

自宅でできるケア

  1. 加湿: 乾燥は咳を悪化させます。冬場は加湿器を使い、室内の湿度を50〜60%に保ちましょう
  2. 首輪をハーネスに変更: 首への圧迫は気管虚脱を悪化させます。散歩時はハーネスを使用してください
  3. 適切な体重管理: 肥満は気管虚脱・心臓病のどちらも悪化させる最大のリスク因子です
  4. 室温管理: 極端な暑さ・寒さを避ける。特に夏場のエアコンは必須
  5. 受動喫煙を避ける: タバコの煙は犬の呼吸器疾患のリスクを高めます
  6. 興奮させすぎない: 過度な興奮や激しい運動は咳の発作を誘発します
  7. 咳の記録をつける: 咳の回数・時間帯・きっかけを記録し、受診時に伝える

よくある質問(FAQ)

Q. 犬の咳が夜だけひどくなるのはなぜ?

夜間に咳が悪化する場合、心臓病が最も疑われます。心不全で肺に水がたまると、横になった際に肺への血液量が増え、咳が出やすくなります。また、気管虚脱も安静時に気管が潰れやすいため夜間に悪化することがあります。夜間の咳が続く場合は早めに心臓の検査を受けましょう。

Q. 犬の逆くしゃみと咳はどう違う?

逆くしゃみは鼻から空気を勢いよく吸い込む動作で、「ブーブー」「フゴフゴ」という音がします。咳が空気を「吐き出す」動作であるのに対し、逆くしゃみは空気を「吸い込む」動作です。逆くしゃみは多くの場合無害ですが、頻発する場合は鼻腔内の異常(ポリープ、腫瘍など)の可能性があるため受診をおすすめします。詳しくは犬の逆くしゃみをご覧ください。

Q. 子犬の咳はケンネルコフの可能性が高い?

子犬やワクチン未接種の犬が急に乾いた咳を始めた場合、ケンネルコフの可能性が高いです。ペットショップやブリーダーから迎えた直後に発症することが多くみられます。軽症であれば1〜2週間で回復しますが、食欲低下や鼻水を伴う場合は肺炎への進行リスクがあるため受診してください。

Q. 咳をしているとき水を飲ませてもいい?

少量の水は問題ありませんが、激しい咳の最中に無理に飲ませると**誤嚥(ごえん)**のリスクがあります。咳が落ち着いてから飲ませましょう。なお、咳止めのために市販の人間用咳止め薬を犬に与えることは絶対にやめてください。犬には有害な成分が含まれていることがあります。


まとめ

犬の咳は、一時的な刺激から心臓病や肺炎などの重篤な疾患まで、さまざまな原因で起こります。咳の「音」を手がかりに原因疾患を推測できますが、正確な診断には動物病院での検査が必要です。

特に以下の場合は早めの受診をおすすめします。

  • 咳が1週間以上続く
  • 安静時の呼吸数が1分間40回以上
  • 食欲低下やぐったりしているなど他の症状がある
  • 舌の色が紫色になる

愛犬の咳が気になったら、まずは咳の動画を撮影し、かかりつけの動物病院に相談しましょう。

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