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犬の肛門腺の絞り方と肛門腺トラブルの対処法【獣医師監修】
犬の健康

犬の肛門腺の絞り方と肛門腺トラブルの対処法【獣医師監修】

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監修: 監修獣医師(後日記入)

犬の肛門腺の絞り方と肛門腺トラブルの対処法【獣医師監修】

愛犬がお尻を床に擦りつけて歩く(スクーティング)、しきりにお尻を舐める、お尻の横が腫れている――これらは**肛門腺(肛門嚢)**にトラブルが起きているサインです。犬の肛門腺は定期的なケアが必要な部位ですが、多くの飼い主が「やり方が分からない」「怖くてできない」と感じています。この記事では、肛門腺の仕組みから自宅での絞り方、トラブルの見分け方、動物病院での治療まで獣医師監修のもと分かりやすく解説します。

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この記事のポイント

  • 肛門腺(肛門嚢)は肛門の左右にある分泌腺。排便時に自然に排出されるのが正常
  • 小型犬は自力で排出できないことが多く、定期的な絞り(月1〜2回)が必要
  • 溜まったまま放置すると肛門嚢炎・肛門嚢破裂に進行する
  • 自宅で絞れない場合は動物病院やトリミングサロンで対応可能(500〜1,500円程度)
  • お尻を擦る・舐める・腫れがあれば早めに受診を

肛門腺(肛門嚢)とは?

構造と役割

犬の肛門腺(正式名称:肛門嚢)は、肛門の左右(時計で見て4時と8時の位置)にある一対の袋状の器官です。内部には独特の強い臭いを持つ分泌液が溜まります。

項目 内容
位置 肛門の左右(4時と8時の位置)
大きさ 小型犬で小豆〜大豆大、大型犬でビー玉大
分泌液の色 正常時:黄褐色〜茶色の液状。異常時:黒緑色やペースト状
臭い 非常に強い独特の臭い(魚の腐ったような臭い)
排出経路 肛門の内側に開口する小さな管(導管)を通じて排出

なぜ溜まるのか

本来、肛門腺の分泌液は排便時に肛門括約筋の圧力で自然に排出されます。野生の犬やオオカミでは、この分泌液がテリトリーマーキングやコミュニケーションに使われています。

しかし、以下の理由で分泌液が溜まりやすくなります:

  • 小型犬: 肛門括約筋の力が弱く、排便時の圧力だけでは排出しきれない
  • 軟便が続いている犬: 便が柔らかいと肛門腺への圧力が不足する
  • 肥満: 脂肪が肛門腺周囲に蓄積し、排出を妨げる
  • 運動不足: 筋肉の衰えにより排出力が低下
  • 高齢犬: 筋力の低下

肛門腺ケアが必要なサイン

以下の行動が見られたら、肛門腺が溜まっている・トラブルを起こしている可能性があります。

チェックリスト

  • お尻を床に擦りつけて歩く(スクーティング)
  • しきりにお尻を舐める・噛む
  • 尻尾の付け根を触ると嫌がる
  • お尻の横(肛門の斜め下)が腫れている
  • お尻付近から強い臭いがする
  • 排便時に痛がる・鳴く
  • お尻の横に穴が開いて膿や血が出ている(→ 肛門嚢破裂。緊急受診)

お尻を擦る行動は肛門腺だけが原因ではありません寄生虫感染肛門周囲の皮膚病、アレルギーなどでも同様の行動を取ります。改善しない場合は受診して原因を特定しましょう。


自宅での肛門腺の絞り方

準備するもの

  • 使い捨てゴム手袋(またはビニール手袋)
  • ティッシュペーパーまたはウェットティッシュ(多めに)
  • 小型犬の場合はバスタブ内で行うと汚れ対策になる
  • できれば2人で行う(1人が犬を保定、1人が絞る)

手順(外部絞り法)

自宅では**外部から圧迫する方法(外部絞り法)**が基本です。肛門内に指を入れる内部絞り法は動物病院で行います。

ステップ1: 犬を立たせるか、小型犬であれば膝の上に乗せる。尻尾を上に持ち上げる。

ステップ2: 肛門を時計の文字盤に見立てて、4時と8時の位置(肛門の斜め下左右)に親指と人差し指を置く。

ステップ3: ティッシュを肛門にかぶせた状態で、4時と8時の位置を内側上方に向かって押し上げるように優しく圧迫する。

ステップ4: 分泌液が出たらティッシュで受け止める。出にくい場合は角度を変えて数回試す。

ステップ5: お尻周りをきれいに拭く。シャンプーの前に行うと洗い流せて便利。

絞り方のコツと注意点

ポイント 説明
力加減 強く押しすぎない。痛がったり嫌がったりしたらすぐにやめる
方向 外から内、下から上に向かって押し上げるイメージ
頻度 月1〜2回が目安。トリミングの際に一緒に行うのが効率的
分泌液の確認 正常は黄褐色〜茶色の液状。黒っぽい・ペースト状・血が混じる場合は受診
臭い対策 非常に臭いので、換気の良い場所やバスルームで行う
無理をしない 出ない場合は無理に絞らず、動物病院に任せる

自分で絞るのが不安な方へ: 動物病院やトリミングサロンで対応してもらえます。費用は500〜1,500円程度です。特にはじめての方は動物病院で一度やり方を見せてもらうと安心です。


犬種別リスク ── 肛門腺トラブルを起こしやすい犬種

肛門腺トラブルは小型犬に圧倒的に多いのが特徴です。

リスクレベル 犬種 特記事項
高リスク チワワ 体が小さく括約筋の力が弱い。最も頻度が高い犬種の一つ
高リスク トイ・プードル 肛門腺が詰まりやすい。定期トリミング時のケアが重要
高リスク ミニチュア・ダックスフンド 体型的に排出しにくい。肛門嚢炎の報告が多い
高リスク ポメラニアン 小型で筋力が弱い。肛門腺破裂の報告もある
高リスク シー・ズー 肥満になりやすく、それが肛門腺トラブルを助長
中リスク フレンチ・ブルドッグ アレルギー体質と相まって肛門周囲のトラブルが多い
中リスク 柴犬 肛門周囲のアレルギーから二次的に肛門腺トラブル
低リスク ラブラドール・レトリーバー 大型犬は一般的に自力排出できるが、軟便が続くと溜まる
低リスク ゴールデン・レトリーバー 同上

大型犬でも安心ではありません: 下痢が続いている犬、肥満の犬、高齢犬は犬種にかかわらず肛門腺が溜まりやすくなります。


肛門腺トラブルの種類と症状

トラブル別の特徴比較

トラブル 原因 主な症状 緊急度
肛門嚢貯留 分泌液が溜まったまま排出されない スクーティング、お尻を気にする 低〜中(定期ケアで予防可能)
肛門嚢炎 貯留した分泌液に細菌が感染して炎症 肛門横の腫れ・発赤・痛み・発熱 中〜高(数日以内に受診)
肛門嚢膿瘍 肛門嚢炎が悪化し膿が溜まる 強い腫れ・激しい痛み・排便困難 高(当日中に受診)
肛門嚢破裂 膿瘍が皮膚を突き破る 肛門横に穴が開き膿・血が排出 緊急(直ちに受診)
肛門嚢腫瘍 肛門嚢のアポクリン腺に発生する腫瘍 しこり・高カルシウム血症 高(精密検査が必要)

動物病院での治療と費用

肛門腺絞り(通常ケア)

項目 内容 費用目安
外部絞り 外からの圧迫で排出 500〜1,000円
内部絞り 肛門内に指を入れて確実に排出 500〜1,500円
トリミング時のオプション シャンプー等と一緒に実施 500〜1,000円(追加料金)

肛門嚢炎・膿瘍の治療

治療内容 概要 費用目安
洗浄・排膿 肛門嚢内を洗浄して膿を排出 3,000〜8,000円
抗生物質投与 細菌感染の治療。7〜14日間の内服 3,000〜5,000円
外科的排膿 膿瘍を切開して排膿(麻酔下) 10,000〜30,000円
肛門嚢摘出手術 再発を繰り返す場合に肛門嚢を外科的に除去 50,000〜150,000円

費用は病院や地域により異なります。詳しくは動物病院の治療費ガイド手術費用の目安もご参照ください。

肛門嚢摘出手術について

繰り返し肛門嚢炎を起こす犬(年3〜4回以上)や、肛門嚢腫瘍が見つかった場合は、肛門嚢を外科的に摘出する手術が検討されます。

項目 内容
麻酔 全身麻酔
手術時間 30分〜1時間
入院期間 日帰り〜1泊
術後管理 エリザベスカラー装着(7〜14日)、抗生物質内服
リスク 肛門括約筋損傷による一時的な便失禁(まれ)
予後 良好。摘出後の再発はない

肛門腺トラブルの予防法

日常的に以下のケアを心がけることで、肛門腺トラブルの発生リスクを下げることができます。

  1. 定期的な肛門腺絞り: 月1〜2回が目安。トリミング時に依頼するのが効率的
  2. 適切な食事管理: 良質なフードで適度な硬さの便を維持する。軟便が続く場合はフードの見直しを
  3. 食物繊維の適量摂取: 便のかさを増やし、排便時の肛門腺への圧力を確保
  4. 適正体重の維持: 肥満は肛門腺トラブルのリスク要因
  5. 十分な運動: 肛門括約筋の筋力維持
  6. 定期的な健康診断: 肛門周囲の異常を早期発見

よくある質問(FAQ)

Q. 肛門腺絞りはどのくらいの頻度で行えばいいですか?

A. 犬種や個体によりますが、一般的には月1〜2回が目安です。トリミングに行っている犬はその際に一緒にお願いするのが効率的です。スクーティングが目立つ場合は頻度を上げてください。大型犬で排便がしっかりしている場合は不要なこともあります。

Q. 猫にも肛門腺はありますか?

A. はい、猫にも肛門腺はあります。ただし猫は犬ほど肛門腺トラブルを起こすことは少なく、通常は定期的な絞りは不要です。猫がスクーティングしている場合は寄生虫や肛門嚢炎の可能性があるので受診してください。

Q. 肛門腺が破裂してしまいました。応急処置は?

A. 肛門嚢破裂は緊急事態です。応急処置として清潔なガーゼで傷口を軽く押さえ、犬が舐めないようにエリザベスカラーがあれば装着してください。その上で、できるだけ早く動物病院を受診してください。自己判断で消毒液を塗ることは避けてください。病院の探し方はこちら


まとめ

犬の肛門腺ケアは、多くの飼い主が見落としがちですが非常に重要なケアの一つです。特に小型犬は自力で分泌液を排出できないことが多く、放置すると肛門嚢炎・破裂といった痛みの強いトラブルに発展します。月1〜2回の定期的な絞り(自宅またはプロに依頼)を習慣にし、スクーティングやお尻の腫れといった異変を見つけたら早めに動物病院を受診しましょう。

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