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猫がくしゃみを繰り返す原因と病気のサイン【獣医師監修】
猫の健康

猫がくしゃみを繰り返す原因と病気のサイン【獣医師監修】

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監修: 監修獣医師(後日記入)

猫がくしゃみを繰り返す原因と病気のサイン【獣医師監修】

愛猫が「クシュン!」とくしゃみをする姿はかわいらしいですが、くしゃみが何度も続く、鼻水や涙を伴う、元気がないといった場合は注意が必要です。猫のくしゃみは、軽いホコリの刺激から重篤な感染症・腫瘍まで、さまざまな原因で起こります。この記事では、猫のくしゃみの原因を分かりやすく分類し、受診すべきタイミング・猫風邪の種類と治療法・ワクチンによる予防まで獣医師監修のもと解説します。

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この記事のポイント

  • 猫のくしゃみの原因は大きく「感染症」「アレルギー」「異物」「腫瘍」の4カテゴリ
  • 最も多い原因は猫風邪(猫ヘルペスウイルス・猫カリシウイルス)
  • 1〜2回の単発くしゃみは正常。連続・持続する場合は病気の可能性
  • 鼻水の色(透明→黄色→緑色→血混じり)で重症度をある程度判断できる
  • 子猫・シニア猫・未ワクチンの猫は重症化リスクが高い

猫のくしゃみは正常? 異常?

くしゃみは鼻腔内の刺激物を排出するための正常な防御反応です。猫も人間と同じように、ホコリ・花粉・強い臭いなどの刺激でくしゃみをすることがあり、1〜2回の単発的なくしゃみは問題ありません。

正常なくしゃみと病的なくしゃみの見分け方

項目 正常なくしゃみ 病的なくしゃみ
頻度 1日に1〜2回、単発的 連続して何度も出る。毎日繰り返す
鼻水 なし、またはサラサラの透明な鼻水が一時的 粘り気のある鼻水。黄色・緑色・血混じり
目の症状 なし 涙、目やに、結膜の赤み
食欲・元気 正常 食欲低下・元気消失
持続期間 刺激がなくなれば止まる 数日〜数週間以上続く
発熱 なし 発熱(耳や肉球が普段より熱い)

猫のくしゃみの原因 ── 4つのカテゴリ

原因別分類表

カテゴリ 主な原因 特徴的な症状 頻度
感染症 猫ヘルペスウイルス(FHV-1)、猫カリシウイルス(FCV)、クラミジア、ボルデテラ くしゃみ+鼻水+目やに+発熱。多頭飼育で蔓延しやすい 最多
アレルギー 花粉、ハウスダスト、タバコの煙、香水、猫砂の粉塵 透明な鼻水。季節性がある場合も。目のかゆみ 比較的多い
異物・刺激物 草の種子、猫砂の粒、繊維くず 突然の激しいくしゃみ。片側だけの鼻水。鼻を気にする仕草 やや少ない
腫瘍 鼻腔内リンパ腫、扁平上皮癌、腺癌 慢性的なくしゃみ。片側だけの鼻出血。顔面の変形 まれ(高齢猫に多い)

最も多い原因:猫風邪(上部気道感染症)

猫のくしゃみの原因として最も多いのが、いわゆる「猫風邪」です。正式には猫上部気道感染症と呼ばれ、主に以下のウイルス・細菌が原因となります。

猫風邪の原因病原体比較

病原体 猫ヘルペスウイルス(FHV-1) 猫カリシウイルス(FCV) クラミジア(C. felis)
頻度 猫風邪の約40〜50% 猫風邪の約30〜40% 猫風邪の約10〜20%
主な症状 くしゃみ、鼻水、結膜炎、角膜潰瘍 くしゃみ、口内炎、舌の潰瘍 結膜炎(片側→両側)、くしゃみ
目の症状 重度(角膜潰瘍を起こすことも) 軽度〜中等度 重度の結膜炎
口の症状 まれ 舌・口腔内の潰瘍が特徴的 まれ
発熱 あり(39.5〜40℃以上) あり 軽度
潜伏期間 2〜6日 2〜10日 3〜10日
キャリア化 ほぼ全ての感染猫が潜伏感染。ストレスで再発 約50%がキャリアに 治療で排除可能なことが多い
ワクチン 3種混合に含まれる 3種混合に含まれる 別途オプション

猫風邪の感染経路

  • 直接接触: 感染猫の鼻水・唾液・涙が健康な猫の目・鼻・口に触れる
  • 飛沫感染: くしゃみの飛沫(約1〜2m飛散)
  • 間接接触: 汚染されたフードボウル・トイレ・飼い主の手や衣類
  • 母猫から子猫へ: 出産時や授乳期に感染

室内飼いの猫でも感染します: 飼い主が外で感染猫に接触し、ウイルスを持ち帰るケースがあります。また、過去に感染した猫がストレスで再発する(特にヘルペスウイルス)ことも少なくありません。


ワクチンによる予防

猫風邪はワクチン接種で重症化を予防できます。

コアワクチン(3種混合)に含まれる猫風邪ワクチン

ワクチン成分 予防対象 効果
FHV-1(猫ヘルペスウイルス) 猫ウイルス性鼻気管炎 感染を完全には防げないが、重症化を大幅に軽減
FCV(猫カリシウイルス) 猫カリシウイルス感染症 同上。ただしFCVは変異が多く、完全な予防は難しい
FPV(猫パルボウイルス) 猫汎白血球減少症 猫風邪とは別だが、コアワクチンに含まれる

ワクチン接種スケジュール

時期 接種内容
生後8週 1回目の3種混合ワクチン
生後12週 2回目の3種混合ワクチン
生後16週 3回目の3種混合ワクチン(推奨)
1年後 ブースター接種
以降 1〜3年ごとに追加接種(生活環境によりリスク評価)

ワクチンの種類・費用の詳細は猫のワクチン費用ガイド、スケジュールの詳細は猫のワクチンスケジュールをご覧ください。

ワクチンを打っていても猫風邪になる?: はい、あり得ます。現在の猫風邪ワクチンは「感染を完全に防ぐ」のではなく「重症化を防ぐ」効果が主です。ワクチン接種済みの猫でも軽い症状が出ることがありますが、未接種の場合と比べて症状は軽く、回復も早い傾向があります。


鼻水の色で分かる重症度の目安

猫のくしゃみに伴う鼻水の色は、症状の重さを判断する一つの手がかりになります。

鼻水の色 考えられる状態 緊急度
透明・水様 初期の感染症、アレルギー、軽い刺激 低(経過観察。3日以上続けば受診)
白〜淡黄色 感染症の初期〜中期。免疫反応による 中(数日以内に受診を推奨)
黄色〜緑色 細菌の二次感染を示唆。膿性鼻汁 高(早めに受診。抗生物質が必要な可能性)
血混じり(ピンク〜赤) 鼻腔内の炎症・潰瘍・腫瘍・異物 高〜緊急(当日中に受診)
片側だけの鼻水 異物・鼻腔内ポリープ・腫瘍の可能性 高(精密検査を推奨)

受診基準 ── こんな時は動物病院へ

すぐに受診(当日中)

  • くしゃみと同時に鼻から出血がある
  • 呼吸が苦しそう(口を開けて呼吸、胸の動きが速い)
  • ぐったりして動かない
  • 子猫(生後6ヶ月未満)で鼻水・くしゃみ・食欲低下

2〜3日以内に受診

  • くしゃみが3日以上続いている
  • 黄色〜緑色の鼻水が出ている
  • 目やにが増えた・目が腫れている
  • 食欲が落ちている
  • 発熱がある(耳の内側が普段より明らかに熱い)

経過観察でOK

  • 1〜2回の単発的なくしゃみ。他の症状なし
  • 掃除直後・猫砂交換直後など、明らかな刺激がある場面でのくしゃみ
  • 透明な鼻水が一時的に出たが、すぐに止まった

子猫・シニア猫・免疫力が低い猫は要注意: FIV(猫エイズ)・FeLV(猫白血病)陽性の猫、糖尿病の猫、ステロイド長期投与中の猫は免疫力が低下しているため、軽い症状でも早めの受診をおすすめします。


動物病院での検査・治療

主な検査

検査 目的 費用目安
身体検査・問診 症状の評価、目・鼻・口の観察 1,000〜3,000円
血液検査 炎症マーカー、FIV/FeLV検査 5,000〜15,000円
PCR検査 原因ウイルス(FHV-1, FCV)の特定 5,000〜10,000円
レントゲン検査 鼻腔・副鼻腔の異常確認 3,000〜8,000円
鼻腔内視鏡(CT含む) 異物・ポリープ・腫瘍の確認(精密検査) 30,000〜80,000円

治療と費用の目安

診断名 主な治療 費用目安
軽度の猫風邪 対症療法(点鼻薬・点眼薬・インターフェロン) 5,000〜10,000円
中等度の猫風邪 抗生物質(二次感染防止)+抗ウイルス薬 + 補液 10,000〜30,000円
重度の猫風邪(入院) 入院・点滴・強制給餌・酸素室 30,000〜80,000円
アレルギー性鼻炎 抗ヒスタミン薬・環境改善指導 3,000〜8,000円
鼻腔内異物除去 麻酔下で内視鏡除去 20,000〜50,000円
鼻腔内腫瘍 CT検査 + 放射線治療 or 化学療法 100,000円〜

費用は病院や地域により異なります。詳しくは動物病院の治療費ガイドをご覧ください。


自宅でのケア方法

動物病院での治療と並行して、自宅では以下のケアを行うことで回復をサポートできます。

鼻詰まりのケア

  • 蒸気吸入: バスルームの湯気の中に5〜10分いさせる(人間用のメンソール・ユーカリ製品は猫に有害なので使用禁止)
  • 鼻水の拭き取り: 温めた湿らせたガーゼで優しく拭く。乾いた鼻水はふやかしてから取る
  • 加湿器の使用: 室内の湿度を50〜60%に保つ

食欲が落ちた時

猫は鼻が詰まるとフードの匂いが分からなくなり、食欲が大幅に低下します。

  • ウェットフードを人肌に温める: 香りが立ちやすくなる
  • 嗜好性の高いフード: 一時的にチュールなどの嗜好性が高いものを与える
  • 少量ずつ頻回に: 1回量を減らして回数を増やす
  • 24時間以上食べない場合は受診: 猫は絶食が続くと肝リピドーシスを起こすリスクがあります

環境整備

  • 暖かい場所を確保: 体が冷えると免疫力が低下する
  • ストレスを減らす: 安静にできる隠れ場所を用意
  • 多頭飼育の場合は隔離: 他の猫への感染を防ぐため別室で管理

アレルギーによるくしゃみの対策

感染症ではなくアレルギーが原因の場合は、アレルゲンの除去・回避が基本です。

アレルゲン 対策
ハウスダスト・ダニ こまめな掃除、猫ベッドの定期的な洗濯、空気清浄機の使用
花粉 窓を開ける時間を減らす、空気清浄機、帰宅時の衣類の着替え
タバコの煙 室内禁煙。猫のいる部屋では絶対に喫煙しない
香水・芳香剤・アロマ 猫のいる空間での使用を避ける。特にユーカリ・ティーツリーは猫に有害
猫砂の粉塵 粉塵の少ない猫砂に変更(紙製・木製など)
カビ 浴室・キッチンの換気、除湿

よくある質問(FAQ)

Q. 猫のくしゃみは人間にうつりますか?

A. 猫風邪の原因となるウイルス(猫ヘルペスウイルス・猫カリシウイルス)は猫特有のもので人間には感染しません。ただし、クラミジアはごくまれに人間の結膜炎を引き起こす可能性があるため、猫の鼻水や目やにを触った後は手洗いを徹底してください。

Q. 猫風邪は一度治っても再発しますか?

A. 特に猫ヘルペスウイルス(FHV-1)は、一度感染するとウイルスが体内(三叉神経節)に潜伏し、ストレス・体調不良・免疫力の低下をきっかけに再活性化します。再発を完全に防ぐことは難しいですが、ストレスの少ない環境づくり・適切な栄養管理・定期的なワクチン接種で再発頻度を減らすことができます。

Q. くしゃみと一緒に「フガフガ」と鼻を鳴らすのは大丈夫?

A. 鼻腔内に鼻水が溜まって通りが悪くなっているサインです。猫は人間のように鼻をかむことができないため、鼻詰まりは大きなストレスになります。蒸気吸入や鼻水の拭き取りでケアし、改善しなければ受診してください。


まとめ

猫のくしゃみは日常的に見られるものですが、連続して何度も出る・鼻水や目やにを伴う・食欲が落ちているといった場合は、猫風邪をはじめとする病気のサインです。特に子猫・シニア猫・未ワクチンの猫は重症化リスクが高いため、早めの受診を心がけてください。猫風邪は3種混合ワクチンで重症化を予防できますので、まだワクチンを打っていない猫はかかりつけの動物病院に相談しましょう。

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