猫のストルバイト結石の症状・食事療法・溶解治療を獣医師監修で徹底解説
この記事のポイント:
- 猫の下部尿路疾患(FLUTD)の約20%がストルバイト結石で、メス猫に多く、特に6〜8歳で好発します。
- 特徴は食事療法だけで溶解可能なこと。正しい療法食で4〜12週間で溶解することが多いです。
- オス猫は尿道閉塞を起こすと命に関わるため、尿道閉塞の緊急性を必ず理解してください。
ストルバイト結石とは
尿中のマグネシウム・アンモニウム・リン酸が結晶化してできる結石です。猫の結石の中でも比較的食事療法で溶かしやすいタイプです。
ストルバイト vs シュウ酸カルシウム
| 項目 | ストルバイト | シュウ酸カルシウム |
|---|---|---|
| 尿pH | アルカリ性(>6.5)で形成 | 酸性(<6.2)で形成 |
| 食事での溶解 | 可能 | 不可能(外科摘出のみ) |
| 好発年齢 | 若〜中齢 | 中〜高齢 |
| 好発猫種 | 雑種、ヒマラヤン | ヒマラヤン、ペルシャ、ビルマ |
症状
| 症状 | 詳細 |
|---|---|
| 頻尿 | 何度もトイレに行く |
| 排尿痛 | 鳴く、踏ん張る |
| 血尿 | ピンク〜赤色 |
| 少量ずつ | 1回の尿量が少ない |
| トイレ以外で排尿 | 不適切な場所 |
| 過剰グルーミング | 陰部をなめる |
| 元気食欲低下 | 進行で |
オス猫の尿道閉塞は命に関わる
オス猫では結石・結晶・栓子が尿道を塞ぎ、24時間以内に腎不全・高カリウム血症・心停止を起こします。
以下の症状があれば即救急:
- トイレで踏ん張っても尿が出ない
- 頻回にトイレへ行く
- 鳴き続ける
- 嘔吐
- 虚脱・触ると冷たい
原因とリスク因子
| 因子 | 詳細 |
|---|---|
| 食事 | マグネシウム過剰、pHアルカリ化食 |
| 肥満 | リスク倍増 |
| 運動不足 | 室内飼い |
| 水分摂取不足 | 濃い尿の形成 |
| ストレス | FIC(特発性膀胱炎)を誘発 |
| 去勢手術 | オスはリスク増(尿道径が細い) |
| 尿路感染 | ウレアーゼ産生菌で結石化 |
診断
| 検査 | 内容 | 費用目安 |
|---|---|---|
| 尿検査(比重、pH、沈渣) | 結晶確認。pH>6.5でストルバイト示唆 | 2,000〜5,000円 |
| 尿培養 | 細菌性感染の除外 | 5,000〜10,000円 |
| 血液検査 | 腎機能、電解質 | 5,000〜10,000円 |
| 腹部レントゲン | ストルバイトはX線陽性 | 3,000〜6,000円 |
| 腹部超音波 | 膀胱壁の厚さ、小結石 | 5,000〜10,000円 |
| 結石成分分析 | 手術・排石後の再発予防 | 8,000〜15,000円 |
治療 -- 食事療法が第一選択
溶解療法
ストルバイト結石は療法食だけで4〜12週間で溶解します。
| 療法食 | メーカー | 特徴 |
|---|---|---|
| ユリナリーS/O | ロイヤルカナン | 溶解用・維持用あり |
| c/d マルチケア | ヒルズ | ストルバイト・シュウ酸両対応 |
| UR ユリナリーSt/Ox | ピュリナ | 両方に対応 |
ポイント:
- 療法食のみを与える(他のフードやおやつは禁止)
- 4週間後にレントゲンで溶解確認
- 溶解後も維持食に切り替え継続
尿道閉塞の緊急処置
| 処置 | 内容 | 費用 |
|---|---|---|
| 尿道カテーテル | 麻酔下で閉塞解除 | 3〜8万円 |
| 入院管理 | 輸液、電解質補正 | 5〜15万円 |
| 会陰尿道造ろう術 | 再発例で実施 | 15〜30万円 |
【独自】猫の飲水量アップ7つの工夫
結石予防の最重要ポイントは尿量を増やす=水を飲ませることです。
- ウェットフード中心に: 水分含有量75%以上
- 水飲み場を複数設置: トイレから離す
- 流水タイプの給水器: 猫が好む
- 陶器・ガラスの器: プラスチックの臭いを嫌がる猫が多い
- 氷を入れる: 夏は特に効果的
- スープを加える: 塩分無添加のチキンブロス
- 水を定期的に入れ替える: 新鮮さが重要
目標尿量: 体重1kgあたり20ml/日以上
費用目安
| 項目 | 費用 |
|---|---|
| 初診・検査 | 1〜3万円 |
| 療法食(4週間分) | 6,000〜12,000円 |
| 4週後の再検査 | 5,000〜10,000円 |
| 維持食(年間) | 60,000〜120,000円 |
| 閉塞時カテーテル | 3〜8万円 |
| 閉塞時入院 | 5〜15万円 |
再発予防
ストルバイト結石は再発率が30〜50%と高く、長期管理が必須です。
- 療法食の継続(維持食)
- 毎日の尿量確認
- 3〜6ヶ月ごとの尿検査
- 体重管理
- ストレス軽減
- 運動(おもちゃで遊ぶ)
受診セルフチェック
- トイレに行く回数が増えた
- 血尿が出た
- トイレで踏ん張るが尿が少ない
- トイレ以外で排尿する
- 鳴き声を上げる
- オス猫で尿が全く出ない → 即救急
- 元気食欲低下
FAQ よくある質問
Q1. 療法食を何ヶ月続ければいい? A. 溶解までは4〜12週間、その後は維持食を生涯継続が推奨されます。中止すると再発します。
Q2. おやつは? A. 療法食以外のおやつは結石コントロールを乱します。どうしても与える場合は主治医相談のうえ専用のおやつを選んでください。
Q3. 人間用の水はOK? A. 水道水・軟水のミネラルウォーターは問題ありません。硬水は避けてください。
Q4. 結石が溶けない場合は? A. シュウ酸カルシウム結石の可能性もあります。外科摘出を検討します。
Q5. 尿道閉塞の再発を防ぐには? A. 会陰尿道造ろう術(PU手術)で尿道径を広げる方法があります。再発を繰り返すオス猫に推奨されます。
Q6. ペット保険は適用? A. 多くのプランで対応。ペット保険比較参照。
まとめ
ストルバイト結石は食事療法で溶解できる比較的予後良好な病気ですが、オス猫の尿道閉塞は致命的です。頻尿・血尿・排尿困難を見たら迷わず受診、療法食の継続と飲水量アップを徹底しましょう。
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免責事項: 本記事は一般情報であり、個別診療に代わるものではありません。