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猫の歯周病の症状・治療・予防を獣医師が解説【進行度別ガイド】
猫の健康

猫の歯周病の症状・治療・予防を獣医師が解説【進行度別ガイド】

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監修: pet-dock獣医師監修チーム

猫の歯周病の症状・治療・予防を獣医師が解説【進行度別ガイド】

この記事のポイント: 3歳以上の猫の約70%に歯周病があるとされます。猫の歯周病は痛みを隠す習性のため発見が遅れやすく、気づいた時にはかなり進行していることも少なくありません。この記事では、歯周病の進行度4段階、猫特有のFORL(歯の吸収病巣)、症状チェックリスト、治療法と費用、自宅デンタルケアを獣医師監修で解説します。

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猫の歯周病はどれくらい多い?

歯周病は猫で最も多い口腔疾患です。歯垢中の細菌が歯肉に炎症を起こし、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)を溶かしていきます。

  • 1歳以上の猫の約50〜80%に何らかの歯周病の兆候がある
  • 高齢猫では割合がさらに上昇する
  • 猫は人間と異なり虫歯にはなりにくいが、歯周病には非常にかかりやすい
  • 口内炎(FCGS)の基礎疾患として歯周病が関与することも多い

歯周病の進行度4段階

猫の歯周病は進行度によってステージ1〜4に分類されます。ステージが上がるほど治療が難しくなるため、早期発見が重要です。

ステージ 名称 歯肉の状態 骨の状態 主な治療法
ステージ1 歯肉炎 歯肉が赤く腫れる。出血しやすい 骨吸収なし スケーリング + 自宅ケア
ステージ2 軽度歯周炎 歯肉ポケットが深くなる(4mm未満) 歯槽骨の25%未満が吸収 スケーリング + ルートプレーニング
ステージ3 中等度歯周炎 歯肉が後退。歯根が一部見える 歯槽骨の25〜50%が吸収 外科的治療 or 抜歯
ステージ4 重度歯周炎 歯肉の著しい後退。膿が出る 歯槽骨の50%以上が吸収 抜歯が第一選択

ステージ1(歯肉炎)なら元に戻せる

歯肉炎の段階では、適切な治療とデンタルケアで健康な歯肉に戻ることが可能です。ステージ2以降は歯槽骨の吸収が始まっているため完全な回復は難しく、進行を止めることが治療の目標になります。


FORL(歯の吸収病巣)とは?

FORL(Feline Odontoclastic Resorptive Lesion)は猫特有の歯科疾患で、歯周病とは別のメカニズムで歯が破壊されていく病気です。猫の約30〜70%に見られるとされ、非常に一般的ですが見逃されやすい疾患です。

FORLの特徴

項目 歯周病 FORL
破壊の方向 歯の外側から(歯肉→骨) 歯の内部から(歯根から破壊)
原因 歯垢中の細菌による感染 不明(破歯細胞の異常活性化)
痛み 進行してから痛む 初期から強い痛みを伴うことがある
見た目 歯石・歯肉の腫れが見える 歯肉が歯の欠損部を覆い、外見上わかりにくい
診断 視診・プローブ検査 歯科レントゲンが必須
治療 スケーリング〜抜歯 抜歯が唯一の治療法

FORLの3つのタイプ

  • タイプ1: 歯根が正常に残存。歯冠と歯根を丸ごと抜歯する
  • タイプ2: 歯根が骨に置き換わっている。歯冠部分のみ切断(コロネクトミー)
  • タイプ3: タイプ1と2の混合型

FORLは通常の視診だけでは発見できないことが多く、歯科レントゲン撮影が重要です。全身麻酔下でのスケーリング時に偶然発見されるケースも少なくありません。


猫の歯周病 -- 症状チェックリスト

猫は痛みを隠す習性があるため、飼い主が気づく頃にはかなり進行していることが多いです。以下のサインを日頃からチェックしてください。

早期に気づける10のサイン

  • 口臭が強くなった: 生臭い・腐敗臭がする
  • よだれが増えた: 顎の下や前脚が濡れている
  • 食べ方がおかしい: 片側で噛む、フードを落とす、首を傾ける
  • 硬いフードを避ける: ドライフードを食べず、ウェットフードだけ食べる
  • 食欲低下: フードの前に行くが食べない
  • 前脚で口を気にする: 口をこする・掻く仕草
  • 歯肉が赤い: 歯の根元の歯肉が赤く腫れている
  • 歯石が見える: 歯の表面に黄色〜茶色の固い付着物
  • 歯がグラつく・抜けた: 歯を触るとグラグラする、食事中に歯が抜ける
  • 顔が腫れている: 目の下や頬が膨らんでいる(歯根膿瘍の可能性)

2つ以上該当する場合は動物病院の受診をおすすめします。


猫の歯周病の治療法

歯周病の治療は進行度に応じて異なります。すべての処置は全身麻酔下で行われます。

治療法の比較

治療法 適応 内容 費用の目安
スケーリング(歯石除去) ステージ1〜2 超音波スケーラーで歯石を除去し、ポリッシングで歯面を滑らかにする 2〜5万円
ルートプレーニング ステージ2〜3 歯根表面の汚染されたセメント質を除去 3〜6万円
抜歯(単純抜歯) ステージ3〜4 歯肉を切開せず、歯を引き抜く 1本あたり5,000〜1万円
抜歯(外科的抜歯) ステージ4・FORL 歯肉を切開し、骨を一部削って歯根ごと除去 1本あたり1〜3万円
全臼歯抜歯 重度歯周病・口内炎 奥歯を全て抜歯 10〜20万円
全顎抜歯 重度FCGS 全ての歯を抜歯 15〜30万円

※費用は動物病院によって異なります。詳しくは猫の歯石除去の費用動物病院の費用ガイドを参照してください。

全身麻酔について

猫の歯科処置には全身麻酔が必須です。「無麻酔歯石除去」を謳うサービスがありますが、以下の理由から獣医学的には推奨されません。

  • 歯肉の下(歯周ポケット内)の歯石は除去できない
  • 歯科レントゲンを撮影できず、FORLや歯根の問題を見逃す
  • 猫に大きなストレスと恐怖を与える
  • 処置中に猫が動くことで口腔内を傷つけるリスク

麻酔前には血液検査・胸部レントゲンなどで全身状態を評価し、リスクを最小化します。


自宅でできるデンタルケア

歯周病の予防・再発防止には、自宅でのデンタルケアが欠かせません。

デンタルケアの方法と効果

方法 効果 難易度 頻度
歯ブラシ 最も効果的。歯垢を物理的に除去 高(慣れが必要) 毎日が理想、最低週3回
歯磨きシート 歯の表面の歯垢を拭き取る 毎日
デンタルジェル・ペースト 酵素や抗菌成分で歯垢形成を抑制 低〜中 毎日
デンタルおやつ・ガム 咀嚼による物理的な歯垢除去 毎日〜数日に1回
飲水添加剤 抗菌成分を含む水を飲むことで口腔内細菌を抑制 毎日

歯ブラシに慣れさせるステップ

猫の歯磨きはいきなりブラシを入れるのではなく、段階を踏んで慣れさせることが重要です。

  1. ステップ1: 口の周りを触ることに慣れさせる(1〜2週間)
  2. ステップ2: 歯磨きペーストを指につけて歯肉に触れる(1〜2週間)
  3. ステップ3: 指サック型ブラシで歯の表面をなでる(1〜2週間)
  4. ステップ4: 猫用歯ブラシで磨く(外側→裏側の順で)

各ステップでおやつや褒めることでポジティブな体験と関連づけましょう。嫌がったら無理をせず、前のステップに戻ることが大切です。


歯周病を予防するために

年に1回は歯科検診を

定期的な歯科検診で早期発見・早期治療が可能になります。特に以下に該当する猫は注意が必要です。

  • 3歳以上の猫
  • ウェットフードが主食の猫
  • 歯磨きができていない猫
  • 過去に歯石除去を行ったことがある猫
  • シャム系・アビシニアン・ペルシャなど歯周病になりやすい品種

食事の工夫

  • ドライフードは噛むことで歯垢を物理的に落とす効果がある
  • 歯の健康に配慮した療法食(t/d等)も選択肢
  • ただし、食事だけで歯周病を完全に予防することはできない

動物病院を受診すべきタイミング

以下のいずれかに該当する場合は、早めに動物病院を受診してください。

  • 口臭が急に強くなった
  • よだれが増えた・よだれに血が混じる
  • 食べ方がおかしい・食欲が落ちた
  • 歯がグラつく・歯が抜けた
  • 顔(頬や目の下)が腫れている
  • くしゃみが頻繁に出る(歯根膿瘍が鼻腔に及んでいる可能性)

歯科に力を入れている動物病院を探す際は、歯科レントゲンの設備があるかを確認するのがポイントです。動物病院の選び方も参考にしてください。


まとめ

猫の歯周病は非常に一般的な疾患であり、放置すると痛みで食事ができなくなるだけでなく、細菌が血流に乗って腎臓や心臓に影響を与えるリスクもあります。ステージ1(歯肉炎)の段階であれば適切な治療で回復可能ですが、進行するほど抜歯が必要になる可能性が高くなります。猫特有のFORL(歯の吸収病巣)は外見からわかりにくいため、歯科レントゲンでの定期検診が重要です。毎日のデンタルケアと年1回の歯科検診で、愛猫の歯の健康を守りましょう。

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