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犬の健康診断はいつから受けるべき?年齢別の検査項目・頻度・費用を獣医師監修で解説【2026年版】
予防医療

犬の健康診断はいつから受けるべき?年齢別の検査項目・頻度・費用を獣医師監修で解説【2026年版】

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監修: pet-dock編集部

犬の健康診断はいつから受けるべき?年齢別の検査項目・頻度・費用を獣医師監修で解説

「犬の健康診断って何歳から受けるもの?」「年に何回受ければいいの?」 -- ワクチン接種やフィラリア予防は意識していても、健康診断のタイミングは迷う飼い主が多いのが実情です。

結論から言うと、犬の健康診断は生後6ヶ月齢から始め、成犬は年1回、シニア犬(小型犬10歳~/大型犬6歳~)は半年に1回が推奨されます。 人間と同じく、症状が出る前の「未病」の段階で異常を見つけることが、愛犬の健康寿命を延ばすカギです。

この記事では、年齢ステージ別の推奨検査項目、犬種・体格による「シニア入り」の違い、そして健康診断で実際に見つかる病気の具体例まで、犬の健康診断に関する疑問を網羅的に解説します。


犬の健康診断はなぜ必要なのか

犬は人間の47倍のスピードで歳を取ります。つまり、**人間にとっての1年間は、犬にとっては47年分の変化が起きている**ということです。年1回の健康診断でも、人間に換算すれば4~7年に1回しか受けていないことになります。

犬が「隠す」動物であることも理由の一つ

犬は本能的に体調不良を隠す傾向があります。野生環境では弱みを見せることが命取りになるためです。飼い主が「なんとなく元気がない」と感じたときには、すでに病状がかなり進行していることが少なくありません。

実際に、動物病院で健康診断を受けた犬の約4頭に1頭(25%前後)で何らかの異常が見つかるとされています。特に7歳以上のシニア犬では、この割合がさらに高くなります。

早期発見で治療費も大きく変わる

健康診断で病気を早期に見つけられれば、治療の選択肢が広がり、治療費も抑えられます。

疾患 早期発見の場合 進行後に発見の場合
歯周病 スケーリング 2~5万円 抜歯を含む手術 10~20万円超
慢性腎臓病 食事療法+定期検査 月3,000~5,000円 入院点滴+集中治療 10~30万円
腫瘍 早期切除 5~15万円 転移後の治療 30~50万円以上
僧帽弁閉鎖不全症 投薬管理 月3,000~8,000円 心臓手術 100~200万円

犬種・体格別の「シニア入り」年齢早見表

犬の老化スピードは体の大きさによって大きく異なります。大型犬は小型犬より早くシニア期に入るため、健康診断の頻度を上げるタイミングも犬種によって違います。

体格 代表犬種 プレシニア開始 シニア開始 ハイシニア開始
超小型犬(~4kg) チワワ、ヨーキー、ポメラニアン 7歳 10歳 14歳
小型犬(4~10kg) ミニチュアダックス、トイプードル、シーズー 7歳 10歳 13歳
中型犬(10~25kg) 柴犬、コーギー、ビーグル 6歳 8歳 12歳
大型犬(25~45kg) ラブラドール、ゴールデン、ボーダーコリー 5歳 7歳 10歳
超大型犬(45kg~) バーニーズ、グレートデン、セントバーナード 4歳 6歳 8歳

バーニーズやグレートデンなどの超大型犬は平均寿命が8~10年と短いため、4歳からプレシニア期に入ります。 「まだ4歳だから若い」と思っていても、すでにシニア向けの検査が必要な場合があります。


年齢ステージ別の推奨検査マトリクス

犬の年齢ステージに応じて、必要な検査項目と推奨頻度をまとめました。

ステージ1: 子犬期(~1歳)

推奨頻度: 初回+ワクチン接種のタイミングで2~3回

検査項目 内容 推奨度
身体検査(視診・触診・聴診) 体重、体温、心音、関節、皮膚、歯並び 必須
便検査 寄生虫(回虫、鉤虫、コクシジウム等)の有無 必須
血液検査(基本) 血球計算(CBC)、基本的な生化学 推奨
先天性疾患スクリーニング 犬種特有のリスクに応じた検査 犬種による

子犬期のポイント: ブリーダーやペットショップからの健康診断書があっても、かかりつけの獣医師で改めて検査を受けることをおすすめします。先天性の心臓疾患や膝蓋骨脱臼は、成長とともに明らかになることがあります。

ステージ2: 成犬期(1歳~プレシニア)

推奨頻度: 年1回

検査項目 内容 推奨度
身体検査 体重変動、心音、皮膚・被毛の状態、歯の状態 必須
血液検査(CBC+生化学) 貧血、肝機能、腎機能、血糖値、コレステロール 必須
尿検査 比重、蛋白、潜血、結晶 推奨
便検査 寄生虫、消化状態 推奨
フィラリア抗原検査 予防薬投与前の確認 年1回必須

成犬期のポイント: 「元気だから不要」と思いがちですが、成犬期こそ「健康な状態のベースライン値」を記録しておく重要な時期です。毎年の数値の推移を見ることで、わずかな変化(腎臓の数値が少しずつ上がっているなど)を早期に捉えられます。

ステージ3: プレシニア期

推奨頻度: 年1回(気になる症状があれば半年に1回)

検査項目 内容 推奨度
身体検査 成犬期と同様+関節の可動域チェック 必須
血液検査(詳細) CBC+生化学に加え、甲状腺ホルモン(T4) 必須
尿検査 比重の低下は初期腎臓病のサイン 必須
胸部レントゲン 心臓の大きさ、肺の状態 推奨
腹部レントゲン 臓器の大きさ、結石の有無 推奨

ステージ4: シニア期

推奨頻度: 半年に1回

検査項目 内容 推奨度
身体検査 全身の詳細なチェック 必須
血液検査(詳細) CBC+生化学+甲状腺+CRP(炎症マーカー) 必須
尿検査(UPC測定含む) 尿蛋白/クレアチニン比で初期腎臓病を検出 必須
胸部・腹部レントゲン 心臓肥大、肺の状態、腫瘍の有無 必須
腹部超音波(エコー) 肝臓・腎臓・脾臓・膀胱の内部構造を詳細に確認 強く推奨
血圧測定 高血圧は腎臓病・心臓病のサイン 推奨
眼科検査 白内障、緑内障のスクリーニング 推奨

ステージ5: ハイシニア期

推奨頻度: 3~4ヶ月に1回

ステージ4の全項目に加えて、以下を検討します。

追加検査項目 内容 推奨度
心臓超音波(心エコー) 弁膜症の進行度、心機能の評価 心雑音がある場合必須
SDMA 従来のクレアチニンより早期に腎機能低下を検出 強く推奨
NT-proBNP 心臓バイオマーカー 心疾患リスクが高い犬種に推奨
全身CT/MRI 腫瘍の精査 腫瘍が疑われる場合

健康診断で見つかる病気TOP10

健康診断で実際に発見されることが多い病気をまとめました。「うちの子は元気だから」と思っていても、これらは初期段階では目に見える症状が出にくい病気です。

順位 病名 発見に有効な検査 好発犬種・年齢
1 歯周病 身体検査(口腔内チェック) 3歳以上の犬の80%以上
2 肥満 身体検査(BCS評価) 全犬種・全年齢
3 外耳炎 身体検査(耳鏡検査) コッカースパニエル、ゴールデンなど垂れ耳犬種
4 慢性腎臓病 血液検査(BUN/Cre/SDMA)+尿検査 シニア犬全般
5 心臓病(僧帽弁閉鎖不全症) 聴診+心臓エコー キャバリア、マルチーズ、チワワ等の小型犬
6 甲状腺機能低下症 血液検査(T4) ゴールデン、ラブラドール、柴犬
7 膝蓋骨脱臼 身体検査(触診) トイプードル、チワワ、ポメラニアン
8 肝臓疾患 血液検査(ALT/ALP/GGT) シニア犬全般
9 糖尿病 血液検査(血糖値)+尿検査(糖) 肥満犬、シニア犬
10 腫瘍 身体検査+画像検査(エコー・レントゲン) 8歳以上で急増

健康診断の費用の目安

健康診断の費用は検査内容によって大きく異なります。

コース 主な検査内容 費用の目安
基本コース 身体検査+血液検査(CBC+生化学)+尿検査 5,000~10,000円
標準コース 基本+胸腹部レントゲン 10,000~20,000円
充実コース 標準+腹部エコー+甲状腺 20,000~30,000円
プレミアムコース 充実+心エコー+眼科+歯科 30,000~50,000円

費用について詳しくは犬の健康診断の費用はいくら?の記事をご覧ください。

費用を抑えるコツ

  1. 春の予防シーズンに合わせる -- フィラリア検査の採血時に、追加の血液検査を同時に行えば、採血1回分の費用と犬のストレスを節約できる
  2. 動物病院の健康診断キャンペーンを利用する -- 多くの病院が春や秋に割引キャンペーンを実施
  3. Team HOPEの健康診断 -- 全国の賛同動物病院で統一基準の健康診断を受けられる
  4. ペット保険の健康診断割引 -- 一部の保険会社は健康診断受診で保険料が割引になる制度あり

健康診断を受ける前に準備すること

スムーズに健康診断を受けるためのチェックリストです。

前日まで

  • 動物病院に予約を入れる(予約制の場合)
  • 検査内容と費用の見積もりを確認する
  • 食事制限の有無を確認する(血液検査がある場合、当日朝の食事を抜く指示が出ることがある)
  • 普段の食事内容・食事量をメモしておく
  • 気になる症状があればメモしておく(「最近水を飲む量が増えた」「散歩で疲れやすい」など)

当日

  • 新鮮な便(排泄後できれば2時間以内)を持参する
  • 尿を持参する(動物病院から容器をもらえることが多い)
  • ワクチン接種証明書を持参する
  • 服用中の薬やサプリメントがあれば持参する

まとめ|年齢ステージ別の健康診断スケジュール

年齢ステージ 推奨頻度 最低限の検査 できれば追加したい検査
子犬(~1歳) 2~3回 身体検査+便検査 血液検査
成犬(1歳~) 年1回 身体検査+血液検査+尿検査 レントゲン
プレシニア 年1回 身体検査+血液検査+尿検査+レントゲン 甲状腺検査
シニア 半年に1回 身体検査+血液検査+尿検査+レントゲン+エコー 心エコー+SDMA
ハイシニア 3~4ヶ月に1回 シニアの全項目 腫瘍マーカー+CT

犬の健康診断は「病気になってから受けるもの」ではなく、「病気になる前に受けるもの」です。 人間のように「自覚症状」を訴えられない犬だからこそ、定期的な検査で飼い主が健康状態を把握してあげることが、愛犬の健康寿命を延ばす最善の方法です。

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免責事項: この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療の代わりとなるものではありません。愛犬の健康に関する判断は、必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

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