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うさぎの主な病気と症状チェックリスト【獣医師監修】
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うさぎの主な病気と症状チェックリスト【獣医師監修】

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監修: 監修獣医師(後日記入)

うさぎの主な病気と症状チェックリスト【獣医師監修】

この記事のポイント: うさぎは体調不良を隠す動物です。飼い主が「いつもと違う」と感じたときには、すでに病気が進行していることが少なくありません。本記事では、うさぎがかかりやすい病気を症状別・部位別に整理し、自宅でできるセルフチェックリストとともに解説します。


うさぎの病気は「気づいたときには重症」になりやすい

うさぎはもともと被捕食動物(食べられる側)であり、体調不良を外に見せない習性があります。野生では弱みを見せた個体から狙われるためです。この習性はペットのうさぎにも残っており、以下のような特徴があります。

  • 食欲がやや落ちていても、飼い主の前では食べるふりをすることがある
  • 痛みがあっても鳴き声をほとんど出さない(うさぎには声帯がない)
  • 動きが鈍くなっていても、ケージの中では目立ちにくい

そのため、うさぎの飼い主は日常的な観察力が命を守る鍵になります。異変に気づいたときにすぐ対応できるよう、うさぎを診てもらえる動物病院を事前に見つけておくことも大切です。以下の病気と症状を把握し、異変に気づける目を養いましょう。


【独自】うさぎの緊急度別・症状アラートチャート

pet-dockが獣医師監修のもと独自に作成した、症状から緊急度を判断するためのチャートです。

今すぐ病院へ(数時間以内に受診)

症状 疑われる病気 なぜ緊急か
6時間以上何も食べない・便が出ない 胃腸うっ滞(毛球症) 腸が完全に止まると24時間以内に命に関わる
お腹がパンパンに膨らんでいる 急性胃拡張・腸閉塞 ガスが溜まり、急速にショック状態に陥る
首が傾いている・ぐるぐる回る 斜頸(エンセファリトゾーン症、中耳炎) 早期治療で回復率が大きく変わる
ぐったりして動かない・体温が低い 多臓器不全・重度脱水・低体温症 数時間で死に至る可能性がある
呼吸が荒い・口を開けて呼吸している 肺炎・熱中症・心不全 うさぎの開口呼吸は極めて危険な兆候
血尿が出ている(鮮血) 子宮疾患・膀胱結石 大量出血で貧血に至ることがある
骨折の疑い(足を引きずる、動けない) 骨折・脱臼 うさぎの骨は非常に脆く、放置で悪化する

当日〜翌日中に受診

症状 疑われる病気
食欲が明らかに減っている(牧草を食べる量が半分以下) 不正咬合、胃腸うっ滞の初期、口腔内の痛み
便が小さい・いびつ・数珠状につながっている 胃腸運動の低下、毛球が溜まり始めている
目やにが出ている・目が腫れている 結膜炎、パスツレラ症、歯根膿瘍
鼻水・くしゃみが続く スナッフル(パスツレラ症)、歯の問題
よだれが多い・口の周りが濡れている 不正咬合、口内炎
下痢をしている(水様便) 細菌性腸炎、コクシジウム症
頻繁に陰部を舐めている 子宮疾患、膀胱炎

近日中に受診(1週間以内)

症状 疑われる病気
毛が部分的に抜けている 真菌症(皮膚糸状菌症)、ダニ、ストレス
フケが多い ツメダニ症、乾燥
足裏が赤く腫れている ソアホック(飛節びらん)
耳の中が汚れている・頭を振る 耳ダニ(ウサギキュウセンヒゼンダニ)
体重が徐々に減少している 慢性的な不正咬合、腎疾患、腫瘍

うさぎの主な病気 -- 部位別に詳しく解説

消化器の病気

胃腸うっ滞(毛球症)

うさぎの病気で最も多いのが胃腸うっ滞です。かつては「毛球症」と呼ばれていましたが、現在では毛球だけが原因ではなく、胃腸の運動性低下が本質であることがわかっています。

原因:

  • 食物繊維(牧草)の摂取不足
  • ストレス(環境変化、騒音、温度変化)
  • 運動不足
  • 脱水
  • 他の病気(歯の問題、痛み)による食欲低下が引き金になることも多い

症状:

  • 食欲が落ちる(まずペレットを残し、次に牧草も食べなくなる)
  • 便が小さくなる、数が減る、出なくなる
  • お腹がゴロゴロ鳴る、または逆にまったく音がしない
  • うずくまって動かない
  • 歯ぎしり(痛みのサイン)

治療費の目安: 軽症で3,000円〜8,000円(点滴+内服薬)、重症の入院治療で15,000円〜40,000円。エキゾチックアニマルの診療費全般については「ハムスターの動物病院費用ガイド」も参考になります

予防: 牧草(チモシー1番刈り)を常時食べられる環境、十分な水分、適度な運動

急性胃拡張

胃にガスや液体が急速に溜まり、胃が拡張する疾患です。胃腸うっ滞から移行することもあります。発症から数時間で死亡することもある超緊急疾患です。

症状: お腹が急にパンパンに膨らむ、激しい痛み(歯ぎしり、体を丸める)、ショック状態(耳が冷たい、目がうつろ)

治療費の目安: 緊急処置+入院で20,000円〜60,000円


歯の病気

不正咬合

うさぎの歯は一生伸び続けます(切歯は年間約10〜12cm、臼歯は年間約3〜4cm)。歯が正常にすり減らないと、伸びすぎて噛み合わせが悪くなります。

原因:

  • 牧草の摂取不足(歯をすり減らす研磨作用が不足する)
  • 遺伝的な骨格の問題(特にネザーランドドワーフなどの短頭種)
  • ケージの金網を噛む習慣
  • 落下事故による歯根の損傷

症状:

  • よだれが多い、口の周りが濡れている
  • 食べ方がおかしい(片側だけで噛む、フードを口からこぼす)
  • 牧草を食べたがらない(痛みのため)
  • 目やに・涙が出る(上顎の臼歯の根が目の近くまで伸び、涙管を圧迫する)
  • 顎の下にしこりがある(歯根膿瘍)

治療費の目安: 歯のカット3,000円〜8,000円、重度の臼歯処置(全身麻酔下)15,000円〜30,000円


泌尿器・生殖器の病気

子宮疾患(子宮腺癌・子宮内膜過形成)

避妊手術をしていないメスうさぎは、3歳以降に50%以上5歳以降に80%以上の確率で子宮疾患を発症するとされています。子宮腺癌は悪性腫瘍であり、肺に転移すると治療が極めて困難になります。

症状: 血尿(赤〜茶色の尿)、陰部からの出血、食欲低下、お腹の膨らみ

治療費の目安: 子宮卵巣摘出手術で30,000円〜80,000円

予防: 1歳前後での避妊手術が最も効果的な予防策

膀胱結石・尿路結石

うさぎはカルシウムの排泄経路が特殊で、尿中にカルシウムが多く含まれます。そのため、カルシウム過多の食事で結石ができやすくなります。

症状: 頻尿、血尿、排尿時の痛み(鳴く、力む)、尿が白く濁る

治療費の目安: 結石除去手術で25,000円〜60,000円


呼吸器の病気

スナッフル(パスツレラ症)

パスツレラ菌による上部気道感染症で、いわゆる「うさぎの風邪」です。ただし、人間の風邪とは異なり、放置すると肺炎や中耳炎に進行することがあります。

原因: Pasteurella multocida菌。多くのうさぎが鼻腔内に保菌しており、ストレスや免疫低下で発症する

症状: くしゃみ、鼻水(透明→白〜黄色に変化)、鼻の周りがガビガビに汚れる、前足の内側が汚れる(鼻を拭くため)

治療費の目安: 抗生物質の投薬(2〜4週間)で5,000円〜15,000円


神経の病気

斜頸(エンセファリトゾーン症)

首が傾く症状で、重度の場合はぐるぐる回転します。原因の多くはエンセファリトゾーン(Encephalitozoon cuniculi)という微胞子虫の感染です。中耳炎が原因の場合もあります。

原因: エンセファリトゾーンは多くのうさぎが潜伏感染しており、免疫低下で発症する。感染経路は尿を介した経口感染

症状: 首が片方に傾く、目が揺れる(眼振)、まっすぐ歩けない、転がる(ローリング)

治療費の目安: 駆虫薬+抗炎症薬(4〜6週間)で10,000円〜30,000円。早期治療で改善率が高い


皮膚の病気

ソアホック(飛節びらん・足底皮膚炎)

足裏の毛が薄くなり、皮膚が赤く腫れる病気です。うさぎには肉球がないため、足裏への負担がかかりやすい構造です。

原因: 硬い床材(金網、フローリング)、肥満、運動不足、足裏を不潔な状態で放置

症状: 足裏の脱毛、赤み、かさぶた、重症化すると潰瘍・骨髄炎に進行

治療費の目安: 軽症で2,000円〜5,000円、重症で10,000円〜25,000円

皮膚糸状菌症(真菌症)

カビ(真菌)による皮膚感染症で、人間にもうつることがあります(人獣共通感染症)。

症状: 円形の脱毛、フケ、かゆみ(軽度の場合もある)、鼻先・耳・足先に多い

治療費の目安: 抗真菌薬(内服+外用)で5,000円〜15,000円(4〜8週間の治療が必要)


【独自】自宅でできる「うさぎの健康チェック」 -- 毎日5分のセルフチェックリスト

pet-dockが獣医師の監修のもと作成した、飼い主が毎日実施すべきセルフチェックリストです。

毎日チェック(所要時間5分)

チェック項目 正常 異常(受診を検討)
食欲 牧草・ペレットをいつもどおり食べる 牧草を残す、ペレットだけ食べる、何も食べない
便の量と大きさ ころころした丸い便がたくさん出る 便が小さい、少ない、出ない、数珠状
便の色 茶〜こげ茶色 黒すぎる、赤みがある、粘液が付着
尿の色 黄色〜オレンジ色(うさぎの正常な尿色) 赤色(血尿の可能性)、白くドロドロ(カルシウム過多)
水の飲む量 いつもと同じ 極端に増えた or 減った
活動量 いつもどおり動き回る うずくまって動かない、ぐったりしている
呼吸 静かで規則的 鼻がヒクヒク速い、口を開けて呼吸

週1回チェック(所要時間10分)

チェック項目 正常 異常(受診を検討)
体重 前週と大きな変化なし(50g以内) 1週間で100g以上の増減
きれいで潤いがある 目やに、涙、腫れ、白濁
乾いている 鼻水、くしゃみ、鼻の周りが汚れている
内側がきれいなピンク色 耳垢が多い、赤み、かさぶた、臭い
口の周り 乾いている よだれ、毛が固まっている
足裏 毛がふさふさしている 脱毛、赤み、かさぶた
お尻周り きれいで乾いている 便で汚れている、湿っている
体の触診 しこりがない しこり・腫れがある

記録のすすめ: チェック結果をスマートフォンのメモや手帳に記録しておくと、動物病院を受診した際に経過を正確に伝えられます。体重は必ず記録に残しましょう。


うさぎの「正常値」を知っておこう

正常を知らなければ異常に気づけません。以下の数値を把握しておきましょう。

項目 正常値
体温 38.5〜40.0度
心拍数 130〜325回/分
呼吸数 30〜60回/分
1日の飲水量 体重1kgあたり50〜100ml
1日の排便量 200〜300粒以上
盲腸便(食糞) 1日1〜2回(通常は夜間〜早朝に食べる)

盲腸便はブドウの房のような形をした柔らかい便で、うさぎが自分で食べます(食糞)。これは正常な行動であり、重要な栄養源です。盲腸便を食べ残している場合は、肥満や歯の問題で体が曲げられない可能性があります。


季節ごとに注意すべきうさぎの病気

季節 注意すべき病気・症状 予防策
春(3〜5月) 換毛期の胃腸うっ滞、毛球の蓄積 こまめなブラッシング、牧草を十分に
夏(6〜8月) 熱中症(うさぎの適温は18〜24度)、食欲低下 エアコン必須、凍らせたペットボトル、冷感マット
秋(9〜11月) 換毛期の胃腸うっ滞(春と同様) ブラッシング強化、水分摂取の促進
冬(12〜2月) 低体温症、飲水量低下による尿路結石 暖房で室温を18度以上に、ぬるま湯の提供
通年 不正咬合、ソアホック、パスツレラ症 牧草中心の食事、清潔な飼育環境

うさぎの病気を予防するための基本

  1. 牧草を主食にする: チモシー1番刈りを24時間食べ放題にする。牧草は歯の研磨と胃腸運動の維持に不可欠
  2. ペレットは適量に: 体重の1.5〜2%が目安。与えすぎると牧草を食べなくなり、歯と腸の問題を引き起こす
  3. 新鮮な水を常に用意する: 給水ボトルとお皿の両方を設置するのが理想。脱水は胃腸うっ滞の引き金になる
  4. 室温を18〜24度に保つ: うさぎは暑さに極めて弱い。28度を超えると熱中症のリスクが急上昇する
  5. 毎日の健康チェックを習慣にする: 上記のチェックリストを毎日実施する
  6. 定期的な健康診断: 年2回以上の健康診断で、病気を早期発見する。動物病院の選び方を参考に、エキゾチックアニマル対応のかかりつけ医を見つけておきましょう
  7. メスうさぎは避妊手術を検討する: 子宮疾患の予防には避妊手術が最も効果的

まとめ: うさぎの異変に気づくために

うさぎの病気は「早期発見・早期治療」が生死を分けます。

  • うさぎは体調不良を隠す動物であることを常に意識する
  • 本記事の症状アラートチャートを参考に、緊急度を判断する
  • 毎日5分のセルフチェックを習慣にする
  • 「いつもと何か違う」と感じたら、迷わず動物病院を受診する
  • 元気なうちにかかりつけ病院を見つけておく
  • 万が一に備え、夜間救急の対処手順も確認しておく

pet-dockでは、うさぎの診療に対応した動物病院をお住まいの地域で検索できます。エキゾチックアニマル対応の病院を事前に把握しておきましょう。また、治療費に備えてペット保険の加入も検討してみてください。


よくある質問(FAQ)

Q1: うさぎが6時間以上何も食べないのですが、すぐに病院に行くべきですか?

A1: はい、すぐに動物病院を受診してください。うさぎは胃腸が完全に止まると24時間以内に命に関わることがあります。6時間以上食べない・便が出ない場合は胃腸うっ滞の可能性が高く、早期治療で回復率が大きく変わります。

Q2: うさぎの健康チェックはどのくらいの頻度で行うべきですか?

A2: 食欲・便の量と大きさ・活動量・呼吸の様子は毎日チェックしてください(所要時間5分程度)。体重・目・鼻・耳・足裏・体のしこりなどは週1回のチェックが推奨されます。変化に気づいたら早めにかかりつけの動物病院を受診しましょう。

Q3: うさぎの避妊手術は本当に必要ですか?費用はどのくらいですか?

A3: メスうさぎは避妊手術をしていない場合、3歳以降に50%以上、5歳以降に80%以上の確率で子宮疾患(子宮腺癌など)を発症するとされています。予防には1歳前後での避妊手術が最も効果的です。費用の目安は子宮卵巣摘出手術で30,000〜80,000円です。


この記事は獣医師の監修のもと、pet-dock編集部が2026年4月時点の情報をもとに作成しました。症状や治療法は個体差があるため、心配な場合は必ずかかりつけの獣医師にご相談ください。

記事の内容は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断・治療を推奨するものではありません。

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