猫の避妊手術の費用はいくら?相場・内訳・助成金を獣医師監修で解説【2026年版】
「猫の避妊手術っていくらかかるの?」「去勢手術との費用の違いは?」――愛猫を迎えたばかりの飼い主さんにとって、避妊・去勢手術の費用は気になるポイントです。手術費用は動物病院によって異なり、術前検査や入院費を含めると想定以上にかかることもあります。
この記事では、メス猫の避妊手術とオス猫の去勢手術の費用相場を全国データに基づいて整理し、費用の内訳、自治体の助成金制度、ペット保険の適用可否、手術の適切な時期、術後ケアの注意点まで網羅的に解説します。費用面の不安を解消し、大切な愛猫のために最適な判断ができるよう、ぜひ最後までお読みください。
猫の避妊手術・去勢手術の費用相場
結論: メス猫の避妊手術は15,000〜40,000円、オス猫の去勢手術は10,000〜20,000円が全国的な相場です。
日本獣医師会の調査によると、猫の卵巣摘出手術の全国平均は約19,833円、卵巣子宮摘出手術は約20,986円とされています。ただし、これは手術料のみの金額であり、術前検査や麻酔、入院費は別途かかります。
メス・オス別の費用比較
| 性別 | 手術内容 | 費用相場 | 手術時間 | 入院 |
|---|---|---|---|---|
| メス(避妊手術) | 卵巣摘出術 or 卵巣子宮摘出術 | 15,000〜40,000円 | 30〜60分 | 1泊入院が多い |
| オス(去勢手術) | 精巣摘出術 | 10,000〜20,000円 | 10〜20分 | 日帰りが多い |
メスの避妊手術が高い理由は、開腹して卵巣(場合によっては子宮も)を摘出する手術であり、手技の難度や手術時間がオスの去勢手術より大きいためです。
手術費用の内訳 --- 総額でいくらかかるか
動物病院によって料金体系が異なるため、「手術料」だけでなく総額で比較することが重要です。以下は一般的な費用項目の目安です。
| 費用項目 | 金額の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 術前血液検査 | 3,000〜8,000円 | 肝臓・腎臓の機能チェック。検査項目数で変動 |
| レントゲン検査 | 3,000〜5,000円 | 心臓・肺の状態確認。省略する病院もある |
| 心電図・エコー | 2,000〜5,000円 | 高齢猫や持病がある場合に実施 |
| 全身麻酔 | 5,000〜15,000円 | 手術料に含まれる場合も多い |
| 手術料(避妊/メス) | 15,000〜40,000円 | 卵巣のみか子宮も摘出するかで異なる |
| 手術料(去勢/オス) | 10,000〜20,000円 | 比較的シンプルな手術 |
| 入院費(1泊) | 2,000〜5,000円 | メスは1泊入院が一般的 |
| 鎮痛剤・抗生物質 | 1,000〜3,000円 | 術後の感染予防・痛み管理 |
| エリザベスカラー・術後服 | 500〜3,000円 | 傷口の保護用 |
| 抜糸 | 0〜1,500円 | 溶ける糸を使う病院は不要 |
メス猫の避妊手術の総額目安: 25,000〜55,000円 オス猫の去勢手術の総額目安: 15,000〜30,000円
病院を選ぶ際は、「手術料」にどこまで含まれているかを事前に確認しましょう。「手術料15,000円」と表示されていても、検査・麻酔・入院が別料金で総額が高くなるケースがあります。
地域別の費用比較(メス猫・避妊手術)
猫の避妊手術費用は、都市部ほど高く、地方ほど安い傾向があります。
| 地域 | 手術料の相場 | 傾向 |
|---|---|---|
| 北海道・東北 | 15,000〜30,000円 | 比較的安め |
| 関東(東京含む) | 20,000〜40,000円 | テナント料等が反映され高め |
| 中部・北陸 | 18,000〜35,000円 | 中間的な水準 |
| 関西 | 18,000〜35,000円 | 都市部と郊外で差あり |
| 中国・四国 | 15,000〜30,000円 | 比較的安め |
| 九州・沖縄 | 15,000〜30,000円 | 比較的安め |
ただし、費用だけで病院を選ぶのは避けてください。手術の安全性は、術前検査の充実度、麻酔管理の体制、術後のフォロー体制によって大きく左右されます。
猫の避妊・去勢手術に使える助成金・補助金制度
多くの自治体が猫の避妊・去勢手術に対する助成金制度を設けています。猫は犬以上に助成制度が充実している傾向があり、特に野良猫対策として地域猫活動(TNR)を推進する自治体では助成額が大きくなっています。
飼い猫向けの助成金(主な自治体の例)
| 自治体 | 避妊(メス) | 去勢(オス) | 申請条件 |
|---|---|---|---|
| 東京都世田谷区 | 6,000円 | 3,000円 | 区内在住・登録済み |
| 東京都大田区 | 8,000円 | 5,000円 | 区内在住・飼い猫登録 |
| 横浜市 | 5,000円 | 3,000円 | 先着順・年度予算制 |
| 名古屋市 | 9,600円※ | 4,800円※ | 市と獣医師会の合算 |
| 京都市 | 5,000円 | 5,000円 | 市内在住 |
| 福岡市 | 7,000円 | 4,000円 | 登録済みの飼い猫 |
※名古屋市は市の助成金(3,200円/1,600円)と獣医師会の負担金(6,400円/3,200円)の合算額
注意: 金額・制度は年度により変更されます。予算上限に達すると受付終了となる自治体が多いため、年度初め(4月)に早めに申請することをおすすめします。最新情報は各自治体の公式サイトでご確認ください。
飼い主のいない猫(地域猫・野良猫)向けの支援
飼い主のいない猫については、手術費用の全額または大部分を負担する制度があります。
- 公益財団法人どうぶつ基金: 全国の協力病院で無料手術が受けられるチケット制度を運営
- 各自治体のTNR支援事業: 地域猫活動として登録すれば手術費を全額補助する自治体も
- 動物愛護団体による支援: 日本動物愛護協会など、NPO法人による助成事業
野良猫を保護した場合は、お住まいの自治体の動物愛護センターにまず相談してみてください。
助成金の申請手順(一般的な流れ)
- お住まいの自治体の公式サイトで制度の有無と条件を確認
- 申請書をダウンロードまたは窓口で入手
- 必要書類(身分証明書、猫の登録情報等)を準備
- 申請書を提出(多くは手術前の申請が必要)
- 承認後、指定の動物病院で手術を受ける
- 手術後、領収書等を提出して助成金を受け取る
自治体によっては手術後の申請を受け付けるところもありますが、原則として手術前の事前申請が必要なケースが多いので注意してください。
ペット保険は猫の避妊手術に使えるか
結論: 予防目的の避妊・去勢手術は、ペット保険の補償対象外です。
ペット保険は病気やケガの「治療」を補償する保険であり、健康な猫に対して行う予防的な避妊・去勢手術は対象になりません。これはアニコム、アイペット、FPC、PS保険など主要なペット保険会社すべてに共通するルールです。
例外的に保険が適用されるケース
以下のように、治療の一環として避妊・去勢に該当する手術を行った場合は補償対象になる可能性があります。
- 子宮蓄膿症の治療として子宮卵巣摘出術を行った場合
- 卵巣嚢腫や卵巣腫瘍の治療目的の手術
- 精巣腫瘍や**潜在精巣(停留睾丸)**の摘出手術
これらに該当する可能性がある場合は、手術前に保険会社へ確認しておきましょう。
猫の避妊・去勢手術の適切な時期
推奨時期は生後6か月前後
猫は犬と比べて性成熟が早く、生後4〜6か月で発情を迎えることがあります。避妊・去勢手術は初回発情前の生後6か月前後が推奨されるタイミングです。
この時期に手術を行うメリットは大きく、特に乳腺腫瘍の予防効果に関して次のような研究データがあります。
| 手術時期 | 乳腺腫瘍の予防率 |
|---|---|
| 生後6か月未満 | 約91% |
| 生後7〜12か月 | 約86% |
| 生後13〜24か月 | 約11% |
| 2歳以降 | 予防効果はほぼなし |
猫の乳腺腫瘍は約80〜90%が悪性(乳がん)であるため、早期の避妊手術による予防効果は非常に大きいと言えます。
手術を遅らせるとどうなるか
- 発情期に手術を行うと子宮の血流が増加しており、出血リスクが高まる
- 年齢が上がるほど麻酔のリスクが増加する
- 発情期の鳴き声やマーキングが始まると、手術後も行動が改善しないことがある
体重が1kg以上あれば手術可能としている病院も多いため、かかりつけの獣医師と相談して時期を決めましょう。
猫の避妊手術のメリットとデメリット
手術を受けるかどうか迷っている飼い主さんのために、メリットとデメリットを整理します。
メリット
- 子宮蓄膿症の予防: 卵巣子宮摘出術であれば発症リスクをほぼゼロにできる
- 乳腺腫瘍(乳がん)の予防: 早期手術で91%の予防効果(前述)
- 卵巣嚢腫・子宮内膜炎の予防: 生殖器関連の疾患リスクを低減
- 発情ストレスの解消: 発情期の大声の鳴き声、食欲低下、落ち着きのなさがなくなる
- 望まない繁殖の防止: 室内飼いでも脱走時の妊娠リスクを回避
- オス猫(去勢): マーキング(スプレー行動)の抑制、尿の臭い軽減、放浪・ケンカによる感染症リスクの低減
デメリットと対策
| デメリット | 詳細 | 対策 |
|---|---|---|
| 肥満になりやすい | 術後はホルモンバランスの変化で基礎代謝が15〜25%低下し、食欲が増加する | 避妊・去勢後用フードへの切り替え、給餌量の調整 |
| 全身麻酔のリスク | 若くて健康な猫であればリスクは低い(0.1〜0.2%程度)が、ゼロではない | 術前検査の徹底、信頼できる病院の選択 |
| 繁殖ができなくなる | 不可逆的な手術のため、将来繁殖させたい場合は慎重に判断が必要 | 手術前に獣医師とよく相談する |
| 術後の一時的なストレス | 入院やエリザベスカラーの装着により数日間ストレスを感じることがある | 静かな環境の確保、術後服の活用 |
猫の避妊手術当日の流れ
手術当日に何が起こるのかを事前に把握しておくと、飼い主さんの不安も軽減されます。一般的な流れは以下の通りです。
| 時間帯 | 内容 | 飼い主がやること |
|---|---|---|
| 前日夜 | 絶食開始(水は当日朝まで可の場合が多い) | 夜9〜10時以降のフードを片付ける |
| 当日朝 | 来院・受付 | 体調の変化を獣医師に伝える |
| 午前中 | 術前検査(血液検査等) | 待機または一時帰宅 |
| 昼〜午後 | 全身麻酔 → 手術(30〜60分) | 待機または一時帰宅 |
| 夕方 | 麻酔から覚醒・経過観察 | 病院からの連絡を待つ |
| 当日夕方〜翌日 | 退院(メスは翌日退院が多い) | エリザベスカラーの管理、投薬方法の確認 |
当日の持ち物: キャリーケース、タオル(キャリー内に敷く用)、保険証(加入している場合)
術後ケアの注意点
退院後1〜2日の過ごし方
- 食事: 麻酔が完全に切れてから少量ずつ与える。当日は通常の半量程度に
- 運動制限: 激しい動き、ジャンプを控えさせる。高い場所へのアクセスを一時的に制限
- トイレ: 砂が傷口に入らないよう、紙製の猫砂に一時的に切り替えることも検討
- 傷口の確認: 1日1〜2回、傷口を目視でチェック
エリザベスカラー・術後服について
傷口を舐めると感染や縫合部の離開の原因になるため、抜糸まではエリザベスカラーまたは術後服を必ず着用させてください。
- エリザベスカラー: 確実に舐め防止できるが、食事やトイレの際に不便を感じる猫も
- 術後服: ストレスが少ないが、器用な猫は脱いでしまうことがある
抜糸は術後7〜14日後に行われます。溶ける糸(吸収糸)を使用する病院では抜糸不要です。
こんなときはすぐ病院へ(術後の緊急サイン)
以下の症状が見られた場合は、迷わず動物病院に連絡してください。
- 傷口から出血が止まらない、または膿が出ている
- 手術後24時間以上経っても全く食べない・水を飲まない
- ぐったりして動かない、呼びかけに反応しない
- 嘔吐や下痢が続く
- 排尿がない(特にオス猫は尿道閉塞の可能性)
- 傷口の周りが赤く腫れている、熱を持っている
避妊手術後の性格・体の変化
「避妊手術で猫の性格が変わるのでは?」と心配する飼い主さんは少なくありません。
性格の変化
手術後にホルモンバランスが変化することで、以下のような変化が見られることがあります。
- 発情期特有の落ち着きのなさや攻撃性が軽減される
- 穏やかになった、甘えん坊になったと感じる飼い主が多い
- 基本的な性格(好奇心旺盛、臆病など)は変わらない
ただし、成猫になってから手術を行った場合は、発情期に学習した行動(マーキングなど)が術後も続くことがあります。
体の変化
- 体重増加: 最も多い変化。術後2〜3か月で目立ち始めることが多い
- 毛並みの変化: ホルモンの変化で被毛がやや柔らかくなることがある
- 活動量の低下: 若干おとなしくなる傾向があるが、遊びの時間を確保すれば維持できる
体重管理のために、術後は避妊・去勢後用のフード(カロリーが10〜20%カットされたもの)への切り替えを検討しましょう。
まとめ
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| メス猫の避妊手術費用 | 手術料15,000〜40,000円、総額25,000〜55,000円 |
| オス猫の去勢手術費用 | 手術料10,000〜20,000円、総額15,000〜30,000円 |
| 助成金 | 多くの自治体で3,000〜10,000円の助成あり。手術前の事前申請が原則 |
| ペット保険 | 予防目的の手術は対象外。治療目的の場合は適用の可能性あり |
| 手術の適切な時期 | 生後6か月前後(初回発情前)。乳腺腫瘍の予防効果が高い |
| 術後ケア | エリザベスカラー必須。抜糸まで7〜14日。体重管理を開始 |
費用面だけでなく、術前検査の充実度や術後のフォロー体制も含めて、信頼できる動物病院を選ぶことが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1. 猫の避妊手術と去勢手術、どちらが費用が高いですか?
メスの避妊手術の方が高くなります。避妊手術は開腹して卵巣(場合によっては子宮も)を摘出するため、手技の難度と手術時間がオスの去勢手術より大きく、入院が必要になるケースが多いためです。総額でメスはオスの1.5〜2倍程度を見込んでおきましょう。
Q2. 野良猫を保護しました。手術費用を安く抑える方法はありますか?
自治体の助成金制度、公益財団法人どうぶつ基金の無料手術チケット、地域のTNR団体による支援などを利用できます。また、一部の動物病院では保護猫向けの割引料金を設けています。まずはお住まいの地域の動物愛護センターに相談してみてください。
Q3. 避妊手術後、猫の性格は変わりますか?
ホルモンバランスの変化により、発情期特有の落ち着きのなさや攻撃性が軽減されることが多いです。「穏やかになった」「甘えん坊になった」という声がよく聞かれます。ただし、好奇心旺盛・臆病といった基本的な性格が大きく変わることはありません。
Q4. 避妊手術をしないとどんなリスクがありますか?
未避妊のメス猫は、子宮蓄膿症、乳腺腫瘍(約80〜90%が悪性)、卵巣嚢腫などの生殖器関連疾患のリスクが高まります。また、発情期には大声で鳴く、食欲が低下する、脱走を試みるなどの行動が見られ、猫自身にとっても大きなストレスとなります。
Q5. 手術費用の分割払いやクレジットカード払いはできますか?
多くの動物病院でクレジットカード払いに対応しています。また、一部の病院ではペットローンや分割払いに対応しているところもあります。高額になる場合は、事前に支払い方法を確認しておくと安心です。
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